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ホルモー六景
万城目学 / 角川書店
horumo6kei.jpg
このごろ都にはやるもの、
恋文、凡ちゃん、二人静。
四神見える学舎の、威信をかけます若人ら、
負けて雄叫びなるものかと、今日も京にて狂になり、
励むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。
このごろ都にはやるもの。
元カレ、合コン、古長持。
祇園祭の宵山に、浴衣で駆けます若人ら、
オニと戯れ空騒ぎ、友と戯れ阿呆踊り。
四神見える王城の地に、今宵も干戈の響きあり。
挑むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。
古今東西入り乱れ、神出鬼没の法螺試合、
若者たちは恋謳い、魑魅魍魎は天翔る。
京都の町に咲き誇る、百花繚乱恋愛模様。
都大路に鳴り渡る、伝説復古の大号令。
変幻自在の第二弾、その名も堂々「ホルモー六景」、ここに推参!


『鴨川ホルモー』の第二弾。
今度は、6編を納めた短編集です。
『鴨川』に比べ、ホルモーについての解説が要らない分、この『六景』は書きやすかっただろうなぁ、と思います。もうまさにホルモー古今東西、作者やりたい放題です。


第四景・同志社大学黄龍陣と第五景・丸の内サミットがとても良かった。
ホルモーに関する歴史の一部分と京都に留まらぬ広がりを垣間見せてくれていながら、この本のテーマである「恋」も疎かにしていない。
上手い、と素直に感嘆します。

第四景では、我らが悪役・芦屋くんの噂の彼女が登場し、芦屋の阿呆っぷりを存分に見せてくれていて痛快。本当に馬鹿な男だなぁ、芦屋。
芦屋の元彼女と芦屋が会う──そう、「鴨川十七条ホルモー」の発端となったあの出来事を当事者の視点で綴り直したのがこの第四景なのでした。
しかし、当然それだけで終わろうはずもなく。
芦屋のどうしようもなさをより明確に浮き彫りにする出来事が、そっくりそのまま、当事者でない人間がホルモーに歴史的側面から切り込んでいくことと直結していきます。
それからどうなったのか、同志社大学黄龍陣の復活はこれからのホルモー戦線にどのような局面を加えてくれるのだろう、と、想像するだけでわくわくします。

また、第五景では、京都の地を遠く離れた二人が東の地で偶然にも再会します。
ここで甘酸っぱい恋模様が展開されるのかと思いきや、それをぶちこわすかのように現れるオニたち。
京都でもないここで、何故こいつらが?
この第五景で、ホルモーの性格の一端がありありと明らかにされています。
ホルモーとは、やはりゲームやスポーツといった類のものではなく、日本の闇を支える呪術だったわけです。しかも、かなり重要な位置を占めているような。
呪術として誕生したであろうホルモーが、どのような変遷を辿って今日のホルモーに辿り着いたのか。また、元々のホルモーが果たした役割は、誰がどのようにして与えたのか。
ああ、こちらもわくわくします。


これでホルモーは歴史的にも地域的にも全国区です。どこでどういう展開をさせてもおかしくない下地が整ったといえます。
これからのさらなる飛躍──第三弾はあるのでしょうか。
ものすごく期待してしまいます。
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