監督:柳町光男
2006年/日本

都心の大学キャンパス。“映像ワークショップ”を受講する学生たちが、ごく平凡な高校生が犯した<不条理殺人>をテーマに、「タイクツな殺人者」と題された映画を製作することになった。クランクイン直前のただならぬ緊迫感の中、彼らが映画に注ぐ純粋な情熱はほとばしる若さのエネルギーとなって、恋と友情にとスリリングに交錯してゆく。そして、ついに取り返しのつかない出来事が! 青春の無軌道さと生真面目さを同居させた彼らが、愛と殺人<ラヴ&ヴァイオレンス>の向こうに見い出したものは?
非常に舞台芝居っぽい作品でした。まぁ、舞台が映画製作の現場で、それが学生たちであるとなれば当然と言えば当然なのですが。
いやぁ、しかし、この作品に出てくるキャラクタ、めちゃめちゃむかつく。出てくるのがほとんどいやな奴ってのもなかなか珍しいんではなかろうか。や、ま、僕がそう感じただけなんで、他の人にしてみればそうでないのかもしれないけれど。
特に柏原収史と吉川ひなののカップル。
女たらしで無駄に自信過剰な男と、悲劇のヒロインに浸りきった自意識過剰女。
単体でもかなりむかつくのに、絡むと、もう。お前ら死ね、とか普通に思ってしまいました。
まぁ、そのほかの登場人物もことごとくかちんとくるタイプばかりで、その中で唯一中泉英雄演じる池田くんがまとも。
そんな池田くんと教授が夜のベンチでビール片手に話すシーンは、なかなか珠玉でした。
「無性にセックスしたくなるときがあるんですけど、相手は女の子ですし」
みたいなことをあっけらかんと言い放つ、そのときの確信犯的な表情!
自分がどういう風に見られているのか、どう見て欲しいのか、を的確に突く名シーンでした。
物語は映画製作現場の緊張感と、学生たちの若さにまかせた生活を描くことで進行するのですが、見ていてふと疑問。
大学生って、あんなに肉々しいもの……?
すきあらば肉欲、みたいな(そう、あれは性愛とかそういう言葉じゃなくて、肉欲という言葉が相応しい)。
なんとなく退いた。まぁ、これもキャラクタのせいかもしれないけど。
クライマックスのフィクションと現実が交差してひとつになっていくさまは圧巻で、息を呑みました。
エンドロールの背景の映像が、より生々しさを強調していると思いました。
ちょっと、背筋がぞくっと震えました。
それにしても前田愛。
あぁあ。やっちまった。
ブランクは敵ですね。どんな分野においても。
もったいないなぁ。
カミュなんて知らない
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