監督:陣内孝則
2007年 / 日本

タップダンサーのプロになる夢を諦めた修平は、恋人の静華がいる北海道へ逃げるように帰るが、静華の父親に結婚の条件として少年アイスホッケーチーム“スマイラーズ”を勝利に導くことを言い渡されてしまう。まったくの素人の修平は、得意のタップダンスを活かした練習法でチームを鍛え直していく。
弱小チームがどんどん強くなり、最後は強豪チームとの決戦を制し奇跡の大勝利!
という、スポーツもののまさに王道ど真ん中です。
アイスホッケーは見たこともないしルールも知らないけど、不安になることなく見てられました。
かといって試合のシーンがおざなりなのではなくて、ものすごくちゃんとしてます。
スピード&パワー! ホッケーってすげー、と素直に思いました。
この作品で一番好ましかった会話↓。
「なんで監督はタップダンスが上手なんですか?」
「お前はなんでホッケーが上手なんですか?」
「ホッケー好きだから」
「そういうことだよ」
ここ。この点を押さえとかないと、こういう作品は駄目になる。
なにかに打ち込む若者を描く際、そのモチベーションや動機をどういうものにするかが問題なわけですが、その「なにか」を手段に堕してしまうような作品は駄目です。打ち込むべき「なにか」は、あくまでも目的でなければいけません。
そうでないと、せっかくの物語が薄っぺらくなる。
その点、この作品は「アイスホッケーが好き」という気持ちがきちんと真ん中にある、実に真っ当なものでした。
ただ、もったいないところは多々ありました。
まず、タップダンス(というか、そのリズム感)をホッケーに活かすという設定。
これは確かにおもしろいんだけど、映像を見てると、なにがどう影響してるのかがさっぱり分からない。タップを活かした練習風景もなかったし。なんで? という感が拭いきれない。
んで、それが分からないから、最終決戦のときに森山未來がタップを踊りまくってるのがウザい。踊る意味が分かんないんだもん。もっとちゃんと子どもたちを見ててやれよ、と思います。
あと、いかにも陣内さんらしいノリの演出が浮いてた。
笑かしたいんだろうけど、あれじゃ笑えません。中途半端だなぁ、って。
そしてなにより、一番不要なのがヒロインの病気。
病気にする意味なくね? そんなお手軽で安っぽいことしなくても、十分良い作品になったのに。実にもったいない。
少年が少女のためにがんばるのは、もう、昔から続く普遍の真理ですよ。
わざわざ病気というアクセサリをつけなくても、説得力はいくらでも出るって。
単純に別れのための手段として病気、というか、死を持ってくるな。いらいらする。
それか、タイトルにも付けるくらいに「奇跡」を強調したんなら、奇跡の逆転勝利で病気も治しちまえよ。そんなご都合主義ありかよってくらいのことやってのければ、逆に突き抜けて安定するのに。
思ったよりいい出来だったので、ついついもったいなさばかりが目につきました。
スマイル 聖夜の奇跡
http://www.go-smilers.jp/index2.html