監督:セバスチャン・コルデロ
2004年/メキシコ、エクアドル

連続殺人犯“モンスター”を追ってエクアドル入りしたTVレポーター、マノロ。そのTVクルーの目の前で無実の罪を着せられ投獄された、心優しい聖書販売員ビニシオ。ビニシオは自分の冤罪を番組で晴らすかわりに、「誰も知らない殺人犯の情報を話す」という取引をマノロに持ちかける。取引をかわすマノロだが、やがてビニシオ自身がモンスターなのではないかと疑うようになる。
ひぃー。すごい。すごいよ、これ。
息詰まる展開とか、見るも悲惨な残酷さとか、見ているこちらまで消耗してしまうような心理戦とかではないのですが、ざくざく心を切り刻む。
二面性、というか、誰もが抱える心の醜い部分を容赦なくつつき回す作品でした。
タブロイド番組の記者は正義の味方なのか。
連続殺人犯は凶暴凶悪な人間であるのか。
子供を失った親はなにをしても許されるのか。
人間ってかくも不可思議で末恐ろしい生き物であることだなぁ。
ラストの救われなさときたら超一級品ですよ。
おさまるべきところに、なにひとつとしておさまらない。
罪は罪として放逐され、罰は罰となる前に飲み込まれ、無数の骸を踏みつぶすことで名声が転がり込む。
ああ。
目を背けること、それが自分に与えられた唯一の救いですか。
それって救われてないよ。
タブロイド
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