監督・脚本:佐々部清
「チルソクの夏」製作委員会/2003年

1977年、7月7日。下関と釜山の間で行われる高校生の陸上競技親善大会。そこで郁子は韓国人の安くんと出会う。二人は短い言葉を交わし、仄かな恋に落ちる。
来年のこの日、7月7日、七夕の日に。七夕のことを、韓国語では“チルソク”といった。
離ればなれになった二人は、互いの国の言葉を勉強しながら文通を始めるのだった。
うーわー、切ないですよー。初々しいですよー。かわいいですよー。
甘酸っぱいですね、青春ですね、初恋ですよ!
もう、胸がきゅんとして大変でした。ああ、もう、かわいらしいなぁ!
メールも携帯も無い時代、唯一二人をつなぐのは手紙のみ。
おんなじ設定でも、時代が現在になるととてもじゃないけど見られたものじゃなくなるでしょうね。ボタン一つでメールは瞬時に届くし、行こうと思えば高校生でも日韓往復くらい軽くやってのけるだろうし。
二人を隔てるのは単純な距離の壁だけではありません。
貧しさ、そして互いの互いによる差別と無理解です。郁子の父と母は相手が韓国人だからといって付き合いを全否定します。それは父母が特別なのではなく、地域全体がそうなのです。お隣のいかにも人の良いおばちゃんでさえ、顔をしかめます。
そして安くんのお母さんは、叔父さんを日本兵に殺されたから、といって付き合いをやめさせようとします。
そうした差別を描きながらも、この映画がただの青春映画、初恋の煌めきを描いたドラマとして輝くのは、こうした時代背景に依り、それでもただ単純に互いを求め会う二人──恋をすること、をじっと見つめ続けたからなのだと思います。
ラスト、展開は分かり切っているけれど、それでも片言の「なごり雪」が聞こえてくると、身体がじんとしびれて、涙がぽろぽろこぼれました。
チルソクの夏
http://www.chirusoku.jp/