監督:アンドリュー・アダムソン

第二次世界大戦下のイギリス──ペベンシー家の4人の子供たちは、疎開先の屋敷の空き部屋で大きな”衣装だんす”を見つける。その扉の向こうでは、あらゆる想像を超えた別世界・ナルニア国が4人を待っていた…。
かつて偉大なる王アスランに創造されたその美しき国はいまや冷酷な白い魔女の支配によって春の来ない100年の冬に閉ざされていた。ナルニアの住人たちは、ひたすらにアスランの帰還を祈り、ひとつの予言に最後の希望を託していた──
二人の“アダムの息子”と二人の“イブの娘”がケア・パラベル城の4つの玉座を満たすとき 白い魔女の支配は終わる…。
ようやく見てきました。ナルニア。
冒頭が戦闘機のシーンなのでちょっと面食らいましたが、「あ、そうか。疎開するところから描くのね」と気付いて、ははぁ、と感嘆。なるほどねー。
原作はまさに名実ともにファンタジー作品で、寓話的側面がとても強いと思います。それをそのまま映画にしたら見てられないですもんね。だから、現実を描くことで地に足をつけようという作戦ですか。
それはなかなか功を奏していました。ナルニアらしい色を失わせず、映画らしい見せ場と“お約束”をしっかり織り込むことに成功していました。
あのね、ペベンシー四兄妹がいい。
ルーシー! かっわいいなぁ。なんだあのほっぺ。めちゃめちゃぷにぷにしてそう。つ、つっつきたい……!
そしてエドマンド。今回の表の主役がルーシーなら、裏の主役は間違いなくエドマンドで、四兄妹の中では一番難しい役所。おおー、ナイス熱演。反発を感じすぎず、同情を覚えすぎず、実に絶妙。
ああ、ナルニアってこんな国だったんだ……と、いままで頭の中にしか展開されなかった世界が眼前にパノラマで拡がるのはなかなか壮観でした。違和感はほとんどなし。ただ一点を除いては。まぁ、その一点が最大の問題なのですが。
アスランが……普通にライオンだ……。
や、原作を読み返しても、彼はやっぱりライオンとしか記述されてないんですけどね。
でも、アスランは、こう、もっと神々しい存在なんですよ。
ナルニアの創造主にして偉大なる王アスラン。
うー……ライオン……。
そうそう、ライオンといえば、白い魔女の城で石にされた住人を元に戻すシーン。
え? あれだけ?
そんなぁ……巨人ごろごろ八郎太はぁ? あの名訳を大スクリーンで見たかったのに。あと、ライオン。かれがはしゃぎながら語る言葉で、アスランがいかにただのライオンでないのか、が良く分かるのに。
ちぇ。
戦争シーンに時間を割いて映画的見せ場をきちんと作るのも、まぁ、いいんですけど。冒頭の第二次世界大戦と絡めてくる作戦なのも分かるけど、そこをもうちょっと短くしてもあのシーンは入れて欲しかったなぁ。
でも、まぁ、総合的に見れば良くできた映画でしたよ。
ナルニア国物語
http://www.disney.co.jp/movies/narnia/shell_content.html