監督:竹内スグル 実相寺昭雄 佐藤寿保 カネコアツシ

「火星の運河」、「鏡地獄」、「芋虫」、「蟲」の短編四本によりなるオムニバス作品集。
四本に直接の繋がりはありません。
まぁ、江戸川乱歩の作品をベースにしているので、それが繋がりといえば繋がりですか。あと、全部の作品に浅野忠信が出演しています。
僕は「芋虫」が特に好きでした。
乱歩といえばエログロナンセンス、というイメージがあるのですが、この「芋虫」はまさにまさにそのイメージのまんまでした。
映像全体に溢れるグロテスクとエロティシズムの洪水。
どきどきが止まりませんでした。
この作品では松田龍平も確かに良かったのですが、大森南朋には叶わない。いやぁ、ああいう役をきちんと演じられるなんて、ねぇ。言葉も表情もボディランゲージもなしなんですから。
ほんのちょっとしか出てこないですが、「芋虫」では韓英恵が小林少年やってたんですよ。できれば、この小林少年の活躍が見てみたかった。そう思わせるくらい、インパクトのある小林少年でした。
「蟲」もすごく良かった。
緒川たまきの死体の演技には脱帽ものです。
そして、閉塞と絶望。底を突き抜けた先に拡がるだだっ広い荒野。その闇の深淵。妄想と現実。
エログロナンセンスから、さらに純粋な部分を抽出した結晶のような濃厚さでした。
四作品全体を見てみると、乱歩に対するそれぞれの解釈の微妙な違いが見えるようでおもしろい。僕も改めて乱歩作品を読みたいなぁ、と思いました。
乱歩地獄
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