聖書異伝と土俗信仰。そして神隠し。
ああ、もう、こんな素材を使ったなら、おもしろくないわけがないじゃないですか。
宗教と信仰の起源は、どんなものであっても、つまるところは自然への畏怖・尊敬と人間同士の因習から発せられているものだと思います。
なので、こうした題材を持ってくるとき、現代よりもまだまだ閉鎖的であった時代の山奥の村、というのは、まさにまさに適役すぎる舞台です。
雰囲気たっぷりで、すっと入り込むことができました。
主役は阿部寛と藤沢恵麻。
阿部ちゃんは、ちらっと『トリック』の上田を彷彿とさせる部分がありましたが、良く演じていたと思います。
藤沢恵麻は、NHKの『天花』の初期に比べるとずいぶんマシになりましたね。ていうか、アレがひどすぎたんですけど。見違えるよう、とは言えませんが、まぁ、それなりに見られる感じでした。
主役二人はともかく、この作品は、脇役がすばらしい。
草村礼子、清水紘治、神戸浩等ががっちりと脇を抱え込んで、作品の世界観を守っている。脇に支えられていた、と言えると思います。
展開や最後のオチにはいまいち釈然としないものが残りますが、テーマや題材が個人的にものすごくツボなので、それなりに満足できました。
やっぱりいいなぁ。こういうの。宗教や歴史、民俗学を巻き込んだ“トンデモ本”が恋しくなってきました。
この作品は、諸星大二郎という人の漫画を原作としているらしいのですが、ものすごく読みたくなりました。こういうとき、ネット通販のありがたさが身に沁みますね。
奇談
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