
おおお。
リアルで困った。なんて映像を撮るかなあ、この監督は。『tokyo.sora』も良かったけど、今回の作品も“なんでもなさ感”が抜群で。決して現実ではないけれど、虚構でもない。作られた感じがしない映像でした。
なによりキャストが秀逸。宮崎あおい最高。あの佇まいにしびれる。微妙な立ち位置や、わずかな間、呼吸、そんなもので、も、言葉ではおっつかないくらいのものが伝えられるのだなあ。
そして17年後の永作博美。ぞっとするくらい違和感がなかったなぁ。ああ、このダブルキャストが実現しただけでもこの映画にはすばらしい価値があるよ。
前半の主人公がユウで、後半がヨースケ。この入れ替えが効く。すごく。
あおいちゃんの佇まいで、ユウというキャラクタは完璧につかめてしまっているから、後半もそれを引っ張るとヨースケが浮く。かといって、前半ヨースケ後半ユウ、ではいけない。そうなってしまうと、あの狂おしいまでに静かでかけがえのないラスト、たった一言、あの言葉が生きてこない。
17年前、どんな気持ちであの言葉を噛みしめていたのか。言いたいのに言えなかったのか。17年間、どうやって呑み込んできたのか。17年間あそこに置き去りにされてきた言葉。
あんな風に、かけがえのない密やかで哀切で換えのきかないたった一言を吐き捨ててみたい。吐き捨てるに足るだけの思いを持ってみたい。
好きだ、
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