監督:候孝賢
2003年/日本

フリーライターの陽子は、古書店主の肇と親しく、一緒に時間を過ごすことが多い。ある日、陽子が妊娠していることがわかる。相手は、台湾の男性らしい。陽子の両親は「シングルマザー」の道を選ぼうとする娘を心配する。一方、陽子を好きな肇は、自分の気持ちを伝えられない。過ぎゆく日々の中で陽子は想う──家族のこと、肇のこと、これから生まれてくる新しい命のことを…。
心落ちつく場所がある。
心落ちつく人がいる。
ようやくです。
昨年九月からずっと待ってました。ようやく金沢で公開です。
驚きました。
主演は一青窈なんですが。上手いです。すごく自然。
いや、陽子=一青窈だろ、演技してねーだろと言われれば、まぁ確かにそうかな、あんまり反論できないかな、とは思いますけど。
素であれだけのものが出せるなら、それはもう十分に役者でしょ、とも思います。
まぁ、キャスティングの妙なんでしょうね。
監督に拍手。
家族は実の父と継母。その仲は非情に良好。
親友の古書店主。実は密かに片思われている。
お腹の子供。産むけれど、結婚はしない。
陽子を中心として描かれる人間関係。
言いたいけど言えない、伝えたいけど伝えられない。言葉にできないそれらは、ちょっとした仕草や微妙な表情、まとった空気によって仄かに香ります。そしてそれらは東京の街に拡散し、いまの東京、を浮かび上がらせます。
すごく静かに切り取られた東京の街は、信じられないくらい良い街に見えました。
あれなら住んでみたいな。
ラスト近く、電車に乗り込んだ肇が偶然陽子を見つけるシーン。
あれ、ものすげー好きです。
肇の陽子に対する気持ちが溢れ出て、すごく暖かいものが胸に広がります。
うらやましいなぁ。
あーもーすげーいい。
ものすげーいい。
もっかい見に行こうかな。
珈琲時光
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