監督:マイク・バーカー
2004年/スペイン・イタリア・イギリス・ルクセンブルク・アメリカ

ニューヨーク社交界の華として知られる若いメグ・ウィンダミアと夫ロバートは、セレブが集う南イタリアの避暑地アマルフィにバカンスに訪れた。そこでメグは魅惑的なアメリカ人女性アーリンと出会う。周囲の中傷に負けず、奔放な恋愛遍歴を重ねてきたアーリンと、生涯を誓い合ったひとりの夫に純粋な愛を捧げるメグ。やがて、社交界で囁かれるアーリンと夫の密会の噂。傷つき混乱するメグ。奔放で恋多き夫人と純粋無垢な若妻の愛と絆。
あらすじや予告編、そして前半〜中盤にかけての物語の進み方。いわゆる不倫ものらしい不倫ものの様相を呈していて、少し淡々と映るかもしれません。昼ドラの舞台背景を1930年代のセレブに移しただけ、みたいな。
ところが中盤〜後半にかけて、物語が一気に動きます。あれよあれよという間に魅せられ、すごく出来の良い人間ドラマが展開されます。そして最後はしっかり泣かされてしまいました。
メグがロバートから誕生日プレゼントをもらうシーンがあるのですが、そのとき、メグはベッドに腰掛けているんですよ。で、プレゼントを渡された途端に足をぷらぷらさせます。それが、異様にかわいい。
つい先程まで貞淑な妻でいたはずなのに、プレゼントを渡された瞬間にひとりの女の子になっちゃう。メグの若さと純粋さを的確に表現した、絶妙の演出だったと思います。
ラスト近く、アーリンとメグの交わした会話に撃沈。その直前にメグの写真をこっそり鞄に忍ばせるのですが、そのアーリンの手つきのやさしいこと。
うわそうくるんだそれはずるいよだめだよがまんできないよ。
号泣。
あのときのアーリンの気持ち、すげーもう言葉にできないくらいうれしかったと思います。
てっきり不倫だの略奪愛だののお話だと思っていましたが、とんでもない。
夫に対する愛、妻に対する愛、身を焦がすような真摯な愛、家族愛、親と子の愛。実に多くのものに充ち満ちた愛の物語。
すごくすっきりと後味の良い作品でした。
2005年の映画見納めとしては上々です。
理想の女
http://www.gaga.ne.jp/goodwoman/