忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

監督:ジャック・オディアール
2005年/フランス
pianist.jpg
トムは28歳。残酷な裏切りが横行する不動産の闇ブローカーの世界に生きている。しかし、彼の心には、いつの日にか母親のようなピアニストになりたいという夢が眠っていた。ある日、彼は昔の恩師に出会い、再びピアニストの道を勧められる。心を揺さぶられた彼は残酷な裏稼業と仲間から離れようと試みる。彼を助けるのは、フランス語を話すこともできない中国からやってきた女流ピアニストのみ。音楽だけを唯一の会話として、二人はオーディションを目指して練習に励むが、その前にはいくつもの困難が立ちはだかっていた…。


夢と現実、芸術と暴力の凄絶な一騎打ちでした。
不動産ブローカーとして暴力に満ち満ちた生活を送りながらも、その昔抱いたピアニストへの夢を捨てきれないトム。
現実を緯糸、ピアノのシーンを経糸として物語は織り成されていきます。

芸術と暴力は共存できません。
ピアノにのめり込めばのめり込むほど、ブローカーとしてのトムの腕は落ちていきます。逆にブローカーとしての手腕を発揮させればさせるほど、ピアノは上手く弾けません。ピアノを上手く弾けない苛立ちは更なる暴力性を生みますが、ピアノはそのすべてを浄化します。
そう、ピアノ=芸術性は、暴力的衝動を浄化するのです。
ブローカーとしての仕事、不倫相手とのセックスに明け暮れる同僚、その妻との爛れた関係。トムは、真夜中にそのすべてを振り払うかのようにピアノを弾き続けるのです。

芸術と暴力に振り回され続けるトムですが、現実に生きる彼は現実=暴力から脱し切れませんでした。ピアニストとなるオーディションに敗れるだけにはとどまらず、彼は暴力の結晶、暴力の総決算ともいうべき事態に見舞われ、一旦は圧倒的な暴力の前に屈してしまいます。
そしてあのラスト。
暴力の世界から逃げたはずのトムが再び暴力的衝動に支配されてしまいます。
しかしそのすべてを受け止め、洗い流してくれるのがピアノでした。圧倒的な音色。圧倒的な芸術。
暴力とセックスでは例え一時の快楽を得られたとしても、すぐに更なる渇きに襲われる。そしてそれを癒やそうと、より強い刺激に溺れていく。満たされることはないのです。
それに引きかえ、心を潤し断罪と贖罪を与えてくれるのですよ。芸術は。
最終的には芸術の一人勝ちでした。

それにしても、ピアノの音色ってなんて艶めかしく色っぽいものか! 言外の言語ですね。音楽は。特にピアノはすごく好き。小さいころ、もうちょっとがんばっとけば良かった。



真夜中のピアニスト
http://www.mayonaka-pianist.com/
この記事にコメントする
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (チェックを入れると管理人だけに表示できます)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
PR
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
ブログ内検索
Copyright ©   input   All Rights Reserved
Design by MMIT simple_plain Powered by NINJA TOOLS
忍者ブログ [PR]