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監督:園子温
2005年/日本
noriko.jpg
家族との関係や自身の現状に違和感を感じていた女子高生・紀子は、あるサイトにのめり込み東京へ家出する。サイトの主宰者と出会った彼女はミツコと名乗り、レンタル家族の一員となる。そのころ起きた女子高生の集団自殺に紀子の手がかりを見出した妹も家出。その後母が自殺し、残された父親は娘たちの消息を追う。


今年初映画。
そして、もしかしたら今年No.1映画。かも。
これは、すっごい。

家族とはなにか? という視点から始まり、個人の解放と崩壊を通じて家族の姿と意味を問いかけ、その視点を広げるでも突き詰めるでもなく、ただ淡々と追っていくことで社会とはなにか? というあの『自殺サークル』へと回帰していく。そして、そのままそれさえも突き抜け、最終的には人間とはなにか? というところまで到達し、家族とはなにか? に答を見出すことでそのすべてに完全なる回答を与える。
そして、この重々しくも苦しいテーマを、きちんとエンターテイメント性を失わずに描ききっている。
うわー、も、なんてすばらしい。

また、その答の与え方も見事の一言に尽きます。
映画は章仕立てで進み、それぞれの章毎にキャラクタのモノローグが挿入されます。
これが、最終章にはない。
いままで過不足なくキャラクタに語らせてきた言葉を、ばっさりと切り捨てる。
この言葉というのは、キャラクタの心情吐露であると同時に、問題提起そのものでもあったのです。
そうすることで、否応なく、そこに表れる行動や仕草や台詞のすべてが見ている側には答となっているのだと分かってくる。
そして、最後の最後、観客がもうなにかを掴んだ気になった瞬間に、監督の持つ答をぽん、と投げかける。

レンタル家族という欺瞞に満ちた存在、しかし、そこでしか生きられない人間たち、それを必要とすることで満たされる人間たち。
誰しもが必ず被らなければ生きていくことのできない仮面。ペルソナ。役割。
生きていくことが恐ろしい、じゃないな、えっと、生きていることが恐ろしくなる映画です。
自分もこの人もあの人もみんなみんなみんなみんな! どうやって生きているのか分からなくなってしまいます。

二時間半もあるんですが、長さをまったく感じない作品です。
園子温の、というか、現時点での邦画の最高到達点といっても決して過言ではないです。


紀子の食卓
http://www.noriko-movie.com/
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