監督:三池崇、パク・チャヌク、フルーツ・チャン
2004年/日本、韓国、香港

3人のアジアを代表する監督の、人間の深い欲望に迫る、衝撃の幻想コンピレーション。短編オムニバス映画『box』『cut』『dumplings』の3本で描く大人のダークファンタジー。
予告を見て、三池崇監督の『box』に引きつけられました。すーごいきれいな映像で、ほれぼれとしてしまったのでした。
国境を越えたオムニバス作品ということで、結構楽しみにしていました。
ふたを開けてみれば、まさにまさに。
各国の色がばっちりと出ていて、作品自体のおもしろさはもとより、お国柄を見るのも楽しかったです。
まずは香港篇『dumplings』。
始めはちょっと謎ですが、すぐに意味が分かります。そして、欲望を罪深さで購うその姿に戦慄を覚えます。まさに因果応報。目的が手段なのか手段が目的なのか。欲と罪に溺れていく様は圧巻です。
ついで日本篇『box』。
幻想的な、という言葉がぴったりの作品。音と色を極力排した構成で、どこが夢でどこが現実なのか、その境を見失いそうになります。そしてすべてがつながったと思った途端の衝撃。ラストのあのカットを見て、なるほどと唸らずにはいられなくなります。
最後が韓国篇『cut』。
これはいかにも韓国らしい作り。社会に対する理不尽な怒りを他者に対して理不尽に展開したもの。スピーディな展開と直接的な暴力や流血で彩られた画面からは、目が離せません。
香港は、「人間の暗部を認めつつも、相応の報いを覚悟しなさいよ」、というお話。
日本は、「人間の暗部は直接見えないけれど、隠れているからこそかくも美しく儚いのよ」、というお話。
韓国は、「人間の暗部はかくも醜く、力強いものなのよ」、というお話。
テーマも画面の見せ方も分かりやすさだけを追求する韓国、隠れたものを暴かないところに美しさを見出す日本、そしてその中間に位置する香港。
見事なまでの三色三様でした。
僕は、やっぱり三池崇さんの『box』が一番良いと思いました。
美しい夜、残酷な朝
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