監督:神山征二郎
「草の乱」製作委員会/2004年

埼玉県秩父郡。生糸の暴落に、人々は高利貸しに頼らざるを得ず、多くがその身代を潰していた。農民がいくら訴えようともお上は取り合ってくれず、唯一の頼りであった自由党は、政府の抵抗にあい解党されてしまう。
そして1884年の晩秋、貧困にあえぐ人々が立ち上がった。
“自由自治元年”の幟(のぼり)にこめられた願いはかなわず、明治政府は12名の死刑、3千余名の科刑、科罰を持ってこれに報いた。世に言う“秩父事件”である。
「おそれながら天朝様に敵対する。加勢せよ!」
知り合いの人がチラシを持ってきてくれたのがきっかけだったんですが、本当、見て良かったです。
めちゃくちゃ良いです、この映画。
不況に喘ぎ、不正に憤り、不当な圧力には決して屈しない。
時代が移り状況が変わっても、変わらないものは、確かにあります。
命を懸けた男たちの物語でありながら、これは、同時に女たちの物語でもあります。
死地に臨む夫や家族を支え、送り出し、家を守る女たち。
その存在感に圧倒されます。
あと、この映画を見て感じたことの一つに、方言の美しさがあります。
現在は標準語という摩訶不思議な名のどこぞの方言が罷り通っているわけですが、その土地土地の言葉というのは、やはりいいものです。
かっこよくて、きれいで、臨場感が豊富で。
もしも、これで言葉が方言でなかったら、かなり興ざめだったでしょうねぇ。
あ、あと、“新政府に対する蜂起”というと、「ラストサムライ」を思い出す方がおられるかもしれませんが、あれとはまるで別物です。
パンフレットの中で監督も仰ってますが、
あちらは「旧時代・封建制への回帰」のために起こる反乱であり、
こちらは「新時代・自由を獲得し新たな秩序を求める」ための戦いです。
志、というか、求めるものも行う者も全く違いますのであしからず。
草の乱
http://www.kusanoran.com/