監督:清水崇
2005年/日本

35年前、観光地のホテルで起こった無差別殺人。狂気にとり憑かれた大学教授が、宿泊客、従業員あわせて11人を惨殺した。自らの凶行を8ミリカメラで記録しながら、逃げまどう人々をナイフで切りつけていったという・・・。
この事件を映画化しようとする映画監督・松村。「記憶」と名付けられたこの作品のヒロインに抜擢されたのは、若手女優・杉浦渚。しかし、撮影が近づくにつれて、渚は不気味な夢や幻覚を見るようになる。その頃、同じような夢や幻覚を見始める人々が現れる。
ホラー映画ってあんまり好きじゃないんですよ。
だって、ビジュアルと音楽でうわっと驚かして、おしまい。遊園地のお化け屋敷と一緒。そんなのホラーと呼ばずに、ビックリ映画とかサプライズ映画とか呼ぶべきですよ。怖くないもん。
で。
この映画も見る気はなかったんですが、椎名桔平が出てるじゃないですか。椎名桔平のため、と思って見に行きました。
あー、うん、ほう。
おどろおどろしい舞台と設定で、結構おもしろい。でも、「あ、くるな」ってのが分かるんですよ。あ、も、このままカメラが回っていくと後ろに怖い子がいるなー、とか。脅かしにはいったな、とか。
興醒め。
こういうの、横溝正史のように描けばおもしろいのに。せっかくの設定がもったいないよ。
やっぱり椎名桔平はいいなぁ。結構前の話ですが、「彼女たちの時代」というドラマがあって、そこで彼の演技に惚れたのでした。なんか不意に思い出した。
てっきり優香と香里奈が絡んでいくのかと思っていたら、この二人まったく絡まないし。優香単体で大丈夫なのか? とちょっと思いましたけど、これはこれは。やるなぁ、優香。
最後、なんだかうやむやのうちに終わってしまった感があるのですが、あれって、やっぱりそういうことなんですかね。
唯一の生き残り、あの奥さんが黒幕ということでファイナルアンサー?
「あの男の実験だったのでは……」とか言ってるけど、実はあんたの実験だったんじゃないの?
だって、じゃないと、あの薄ら笑いは浮かばないでしょ。そして、人形とスーパーボールを差し入れたのも、実験の一環だったのでは、と考えると納得がいく。
いや、ただ単に子供たちの復讐が果たせて満足、という風にも見えなくもないけど、それだとやっぱりあのフィルムに子供たちが出てきたときの薄ら笑い、扉越しに投げつける侮蔑のこもった嘲笑の意味が分かんなくなっちゃう。
いいところで出てきて、キーとなるように立ち回ってますし。
そういう意味ではちょっとぞくっとしました。最後。
輪廻
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