監督:羽住英一郎
2007年 / 日本

寂れた町営スキー場でやりたい放題の日々を過ごしている"雪猿"たち、城山銀、小鳩祐治、神沼次郎の3人組は、賭けスキーやスキーの当たり屋などをして周囲の人々に迷惑ばかりかけていた。そんなある日、彼らの前にスキーがまったくできないという綾瀬七海が現れる。
やりたいことは分かる。
挫折を味わった若者が似た境遇の「仲間」と傷を舐めあい、諦念を分かち合い駄目になっている。
そこへ一筋の希望(まあ大体はヒロインなわけですね)が現れ、かつて背を向け尻尾巻いて逃げ出した挫折と向き合い、友情・努力によってそれを見事克服、大団円。
という、いまさら説明の必要もないほど描かれ尽くされた王道パターンです。
王道ということは、上手く作ればとてもおもしろくなるということです。決してワンパターンだからつまんないわけじゃないんです。おもしろいから、色んな人があの手この手で作り替えるんです。
しかし、この作品はひどかった。
主役の三人組。
三人組である必要がまったくない。
別に瑛太ひとりでなんの問題もなくストーリーは進むし、大勢に影響はない。玉山鉄二は過去になにか背負ってるみたいだけど、結局それは描かれず仕舞。ちらりとほのめかしてほったらかし。もうひとりに至っては、ただ単純に景気づけにはしゃぐだけ。
いてもいなくても良い脇役、というのは役者の力量によってものすごく良い味を醸し出すこともありますが、それが主役級だとまるっきり逆効果。
なにより、その主役三人組に魅力がなさ過ぎる。
雪山の暴れ者、というか、単純に無法者。頭悪い迷惑者です。
まぁ、冒頭はそういうキャラでも、ストーリーが進む中で挫折を乗り越える過程を経てまともになっていくものですが、この作品は驚くくらいにそのまんまです。
最初から最後までバカはバカ。なにひとつとして変わりゃしない。
まぁ、ストーリーがあってないようなものだからそれも当然といえば当然なんですけど。
また、(おそらく)目玉であろうスキーシーン。
僕はスキーしないのでよく分からないんですけど、あれはあれでいいの?
迫力とか爽快感とか、そういうのが特にない、ごくフツーの画に見えたんですけど。
去年見た『ファースト・ディセント』はノンフィクションだったけど、今作と比べるのが失礼なくらいにすばらしいスキーシーンでしたよ。
それに、ラスト。
お茶を濁したにしても、あのラストで納得できるのがふしぎです。
バカはバカのまま他人様にかけた迷惑の精算もせず、ヒロインの絡む二時間弱のエピソードをまるっと無視し、主人公は挫折を乗り越えるとかそういう以前の問題で、「僕やってみる!」とふらっと大舞台に上がり、それを見た人が「わーがんばったね!」といって頭を撫でる。
……幼稚園児のお遊戯会とやってること一緒です。
田中麗奈がかわいかった。それだけです。
銀色のシーズン
http://www.g-season.jp/