まだらめ三保 / ポプラ社

がっこうに いったら、
でんぐりがえしを ならうかな?
ないしょばなしが できるかな?
ねえ、あなたも おひめさまの
がっこうに いってみない?
昔々の大昔、とても幼い頃に読んだ本でした。
もはや記憶が定かではなく、ただ、「湖いっぱいのオレンジゼリーをつくる」という漠然としたイメージしか残っていませんでした。
これがあやふやなくせにすごい印象が強くて、ずっと気になっていました。これってなんなんだろう、と。
あまりにあこがれが強すぎて、「〜〜いっぱいのデザート」にリスペクトすら覚えるようになり、現実逃避のためにボウルいっぱい(湖はさすがに無理)のプリン(卵と蒸し器があったので)を作ったこともありました。
それが! とうとう! 正体が明らかに!
てっきり主人公は王様か王子様だと思っていたら、おひめさまでした。
オレンジゼリーが大好きで湖をゼリーにしたのだとばかり思っていたら、ゼリーは湖の真ん中の島に建つ学校から抜け出すための手段でした。
おお、人間の記憶ってずいぶん都合のいいように改竄されるものなのだなぁ、と感心しましたよ。
おひめさまの一挙手一投足をわくわくしながら追いかけるのは非常に楽しかったです。
児童書っていいですね、やっぱり。シンプルの極致にいるのに、いくらでも感じられる。あ、逆か。シンプルだからこそどんな風にも受け取れるのか?
簡単なことを簡単に書くのは、なにより難しいです。ほんとに。