上橋菜穂子 荻原規子 佐藤多佳子 / 青土社

<守り人>シリーズ、『獣の奏者』、
『西の善き魔女』、『RDG レッドデータガール』、
『一瞬の風になれ』、『シロガラス』…
当代きっての物語の書き手でありまた読み手でもある3人の作家が、お互いの作品を時にするどく時になごやかにあますところなく語り尽くす!
こんな夢のような鼎談集、見逃せるわけないじゃないですか!
第2章はRDG特集のユリイカで読んでいたのですが、この流れで読むとまたすこしばかり感触が違いました。
これはこれで。なるほど。
RDGに限らず、児童文学にカテゴライズされる物語の強さが立ち現れていました。
物語に対する見方というか、姿勢というか。
物書きという人種が、どれだけ自覚的に文章を書いているのか、をまざまざと見せつけられます。
世界と個人に対する視点、その視点が三者三様なんだけど、結局物語を書くという行為を経てみると、とてもよく似た部分に落ち着くという。
これは荻原さんファンだからのひいき目かもしれないけれど、僕はやはり荻原さんの見方が一番しっくりきました。
人ともう一人が関わっただけで、結局全世界と同じぐらいの広さのものに繋がってしまうという、気分かな。
上橋さんはこの「繋がる」感覚が世界に広がっていく、と。
「守り人シリーズ」は、確かにその典型ですね。壮大な世界観、大国同士の陰謀、個人の事情とは関わりなく進んでゆく大きな流れ。そしてなによりナユとサユグの重なり合う世界。
しかし、それは個人を置き去りにしているということではなくて、そうした大きな事情と同じだけの重さをもって個人の思いが展開され、すべてが繋がって大きな流れを形成している。
そして荻原さんの場合は、そのいわゆる「世界」が個人の中にすべて含まれてしまう、という。
だから少年少女があんなにも輝いて見えるのではないのかなぁ、と思いました。
楽しいなぁ。
講演会とかパネルディスカッションとか、どんな場でもいいから、このお話を生で聴いてみたい。