ルネッサンス吉田 / 祥伝社

先生の部屋で見つけた女子高生の写真。
なんか気まずそうな顔してキスしてきた先生。
でも、奥まで触れ合ったら、何かが始まった気がする。
写真の子は「酒飲んで飛び降りた」んだって。
何回抱き合ったって、先生の心の中には今でもあの子がいる。
ずるいな…。死んだ人にはどうやったって勝てないよ。
先生、私は死なないから。
先生をひとりにしないから。
こわくないよ。
ねえ、お願いです。
……先生を返してください。
衝動買い。
だいぶ前、この作者の『茜新地花屋散華』という漫画をそれこそ衝動買いして、頭ぶんなぐられたような衝撃を受けました。お世辞にもきれいとは言えない絵、しかし怒涛のごとく繰り出される圧倒的な量のネームと勢いのある線がいい具合にマッチして、胸えぐられるような作品でした。ていうかえぐられました。
今回ひさしぶりにこの作者の名前を見て、あのときの感覚を思い出し、たまらなくなっちゃって。
おもしろかった。
お互いに「これは恋の真似事だ」と言い訳しながら、真摯に恋をする女子高生と予備校教師。
言い訳があるから溺れられて、溺れているから言い訳が必要で。
ぐりぐり胸をえぐる感じがたまりません。
しかし。
『茜新地~』のときにあった圧倒的な量のネーム、文字がこの作品にはなくて、むしろ余白がいい感じに効いていました。余白の使い方だけ見れば志村貴子っぽい感じ。
となってくると、絵が気になる。
はっきり言って下手で、雑で、どんなによく言おうとしても味があるとは言いがたい。特に手と裸体がつらい。なんだか気持ち悪い。すごくいい物語なのに、ときたま絵に引っ張られてしまいました。
こういう静かな作品のときは、もう少し丁寧に線を引いてほしいな、と思いました。
おもしろいからこそ、ちょっぴり残念です。