早坂吝 / 講談社

アウトドアが趣味の公務員・沖らは、フリーライター・成瀬のブログで知り合い、仮面の男・黒沼が所有する孤島で毎年オフ会を行っていた。沖は、今年こそ大学院生・渚と両想いになりたいと思っていたが、成瀬が若い恋人を勝手に連れてくるなど波乱の予感。孤島に着いた翌朝、参加者の二人が失踪、続いて殺人事件が! さらには意図不明の密室が連続し……。果たして犯人は? そしてこの作品のタイトルとは?(※真相とタイトルが分かっても、決して人には話さないで下さい)
ダ/ヴィンチの記事の中で、大森望が「2014年のこのミスについてはこれだけ読んどきゃいい」みたいなことを言っていて、調べてみると評価もピンキリというか、ピンかキリのみで中間がないという状況。激しく興味を惹かれました。
読んでみると、冒頭に挿入される挑戦状、タイトル当てクイズ、一人称と三人称の混在、南海の孤島、仮面の男といったわざとらしい道具立てにクローズドサークル。B級臭をぷんぷんさせ、陳腐なトリックでこちらを誘ってくる感じが逆に否が応でも期待を高めてくれます。
これは……うん、確かにすごい。いろんな意味で。
どんな感想を書いてもネタバレになりかねず、うかつなことは言えません。わかりやすいB級臭とは裏腹に、本当に良くできた作品でした。そして、良くできた作品でありながら、トリックというかネタというかオチのバカバカしさよ! 解決編では「はぁーなるほど」と感心するのと同時に、こんなことにしてやられたのか、と苦笑が漏れてしまいます。
このギャップがすばらしい。このバカバカしくも見事なオチを笑って受け入れられるかどうかがピンキリの評価につながってるんだろうなと感じました。この作品は、是非ネタバレを知らない状態で読んで欲しいです。