SFマガジン編集部

発表!ベストSF2003[国内篇・海外篇]
新世代作家座談会 秋山瑞人×冲方丁×小川一水
21世紀日本SF作家分布マップ
秋山×冲方×小川の鼎談がどうしても気になったので、ネットで探して買ってみました。
こういうときネットって本当に便利ですよね。
昔なら、図書館にでも行ってバックナンバーを虱潰しに当たって該当号を探し、見つかれば見つかったで手元にほしければ今度は古本屋を巡りに巡って探し回る……というこの手間暇。
それが、いまやワンクリック。
便利だけどちょっとさみしい。
うれしいけどちょっと物足りない。
まぁ、すんげーどうでもいい余談ですけど。
で。
待望の座談会。
おもしろかった……!
ちょうどこの号が出た時期ってのは、『イリヤの空、UFOの夏』が完結した翌年であり、『マルドゥック・スクランブル』が出た翌年であり、『老ヴォールの惑星』が発表された翌年であったようです。
おお。
いずれも名作。
しかしもはや10年前とは。
その時間の流れにまず驚きます。
そーかー、あれからもう10年かー。
というおっさんの感慨はともかく、そういうわけでここで対談している三人はいまから10年前のまだまだ若手作家の三人だというわけです。
「何故少女に闘わせるのか?」という問いに対し、三人ともが「だって男の子だと恥ずかしいじゃないですか」と男の子のへたれっぷりに対してコンプレックスに近いような気持ちを抱いているということを言っています。
それは強い男に対するコンプレックスであり、求められるものと現実とのギャップを真摯に見つめているということでもあるようです。
なるほど確かに、言われてみればそんなもんかもしれませんね。
戦闘美少女がもてはやされるのも、ただ単純に絵面がいいからというだけにとどまらず、男性作家が/もしくは男性読者がまっすぐ少年に託してしまうと恥ずかしいものも、「少女」しかも、生身ではなく記号としての「少女」に託すからこそ堂々とできるって部分があるのかもしれません。
それにしても小川一水がとんがってるなぁ。
ケンカ売ってるというのとはちょっと違うけど、とにかくかみついてやるぞ!的な雰囲気が出まくっている。
がんばりすぎて空回りしている、という印象。
作品を読んで抱いていたイメージと、この座談会での印象が全然違うのでちょっと驚きました。
それにしても、座談会の中で三人ともこれからもっと書くぞ!みたいなことを言っていて、事実冲方と小川は続々と作品を発表していて、それなのに秋山の寡作っぷりったら。もう泣けてくる。デストロイの季節はまだかいなー。