柳原望 / メディアファクトリー

小坂さんとの別離を経て、へこむ温巳。
高校生活を彼女なりに楽しみ、そして自立へと意識を向けていく久留里。
いつまでも変わらないと思っていたふたりの関係も少しずつ変わろうとしている。
そしてそんな中、温巳にチャンスが訪れる。
その機会を運んできた意外な人物とは…!?

久留里が温巳のもとへ来て4年。
そして、温巳へのほのかな恋心を抱いて4年が経とうとしていた。
叔母・美哉の足取りを辿りながら久留里に対する保護者心が積もっていくのを感じる温巳。
なつ希ちゃんパパの襲来で見えてくる新しい家族のカタチとは…?
さらには、1枚の写真がふたりの関係を大きく揺るがす…!?
前巻というか、第42話。
アレがあまりにもショックすぎて、7巻買ったはいいが怖くて読めなくて。しかし気づいたらもう8巻も出ていたので、腹くくって読みました。
嗚呼……。やっぱり、小坂さんと丸宮兄がくっついてる……。
ハルが大ポカをやらかしたせいとはいえ、かなしいし苦しいなぁ。このふたりにはくっついてほしかった。
小坂さん。
初登場時はかませ犬っぽいポジションだったのに、どんどん本気になっちゃって公私両面でぐんぐん成長していって、仕事面ではきっちり認められて成功しかけている大人の女なのに、鈍くさいハルのいいところをきっちり見つけてくれてそんなことで一喜一憂したりして、そんな子どもっぽい一面が高じて律儀にも久留里に宣戦布告までしちゃって、もう、本当にかわいらしい。
かわいすぎるよ小坂さん!
理想を言えば、このふたりはこのままきゃっきゃうふふといちゃいちゃしながら、でも一線を越えることもなく、いつまでも見ているこちらをやきもきさせてほしかった。
まぁ、さすがにそれはあまりにも漫画的すぎるので、そろそろくっついてほしかった。
自分の好きな人が自分の好きな人とくっつくって、ある意味理想ですよね。
あー……ショック。なんで漫画のキャラがふられたりくっついたりしてるだけでこんなにダメージを受けてるんだろ。
さて。
愚痴るだけ愚痴ったら断舎利終了(by小坂)。
第7巻は、まぁ、なんだかんだいっても小坂ショックを差し引いたら第46話が秀逸。実に秀逸。
ぼんくらのハルは、久留里のことをいつまでも子どもだと思っていて、けれど久留里ももう高校生で、自分なりにいろいろ考えているお年頃な訳です。そんなことも香山さんに指摘されて初めて気づいたくらいのハルやったのに。
目の前でクマパンを堂々と干していた女の子はもういない
女の人はわからない
何も変わらない顔の下で何かを決めて
突然目の前から去っていく
わからないのはこういう人間だからなのか?
美哉ちゃんのこと、小坂さんのこと、久留里のこと。
女性のことはわからない、自分が鈍感だからだめなのか? と自問自答するハル。
けれど、久留里の作った春キャベツのメンチカツを食べて、それを作るまでの苦労、手間、大変さを思い、それでもメンチカツを作った久留里のことを思い、おいしいメンチカツに込められた物語をしっかりと読み取れる。
そこはわかるよ
こんな人間だけど
そこだけはとてもよくわかるようになったんだ
ぐっと胸に迫るものがあります。
柳原さんは人の思いをなにかに託すのが本当に上手で、いつもどの作品を読んでもぐっとさせられてしまいます。
畜生、この良さをわずかでも伝えられないのが悔しい。
そして8巻。
おお、とうとう久留里出生の秘密に近づいてきた。
失踪した美哉ちゃんがどういういきさつを経て久留里を遺すに至ったのか。
なんだか柳原さんらしからぬ不穏さを秘めたまま終わってるのがめちゃくちゃ気になるけれど、きっと柳原さんは裏切らない。どうなるんだろうなぁ。不安一割、期待九割。
ああ、次巻が待ち遠しい!!