早川書房

RDGがSFとして取り上げられているということで興味を引かれたわけですが、なるほど。
大方の予想通り、世界滅亡の危機を巡るループ物という括りでエントリーされているようでした。確かに間違っちゃいないけど。
しかしまあ、今回の特集は「SF」よりも「ジュブナイル」に軸足を置いたもののようですので、それほど違和感はなかったです。
「ジュブナイル」。
ずいぶんひさしぶりにききました。もうとっくに失われて久しい言葉だと思っていたので、なんだかとてもうれしいです。
特集記事を読んでいくと、「ジュブナイルはジャンルとしては衰退し、そのテイストはライトノベルの中に受け継がれている」と、乱暴に要約するとこのような文脈で語られていました。
そもそもジュブナイルは「少年期」という意味で、児童書と一般書の中間層、ティーンエイジャーを対象とした作品群を指していました。
一方、出版社が中高生をメインターゲットとしたレーベルを立ち上げ、そのレーベルから出版された作品群がライトノベルと呼ばれるようになりました。そうした流れを見れば、ライトノベルがジュブナイルの後継だという認識はある意味正しいのですが(個人的にはそんなのどかなものではなく、ライトノベルはジュブナイルを商業的に食い荒らしたのだと思います。まぁ、ライトノベル論はまた別の機会があれば)、ここで忘れてはならないのが児童書の伸展です。
児童書はその名の通り児童を対象とした作品群がメインですが、その裾野は非常に広いです。さっきジュブナイルはライトノベルに商業的に食い荒らされたと書きましたが、児童書はそこからこぼれ落ちたものの受け皿として機能したのではないかと思います。
その結果、児童からティーンエイジャーまでの幅広い分野をカバーする作品群が児童書という括りに入ることになった。
非常に単純かつ乱暴な論ですが、この界隈を巡る状況を私はこのように考えています。
ここでようやくSFマガジンの話に戻るんですが、今回の特集はとてもおもしろく、ブックガイドも(すでに読んだものが多数あったとはいえ)実に有用でした。ただ惜しむらくは、ブックガイドには児童書も相当数含まれていましたが、読み物としての特集記事はライトノベルに偏っていたので、もっと児童書の側からのアプローチがあってもよかったんじゃないかなぁ、と。
しかし、SFには魔的な力がありますよね。ジャンル的な深みというか。
これを読むならあれも、あれを読むならそれも外せない……みたいな。あーSF熱が高まるー。
そういえば、「佐島勤インタビュウ」の中に、
――以前SFマガジンで、秋山瑞人さん、冲方丁さん、小川一水さんの対談を行ったんですが、
とありましたが、なにこの豪華な鼎談……。めちゃくちゃ読みたいー!!