麻生みこと / 白泉社

高校の新入クラブ紹介で書道部の先輩に一目惚れした、ことは。入部しても告れないまま、やがて彼は卒業し上海に留学していく。恋心を綴って送ったはずの手紙は、なぜか添削されて帰って来て…!?
「言葉」をテーマにした短編集。
うん、どれもこれもいいなぁ。言葉は無限だ。空気のように漂ったり、胸に鋭く切り込んできたり、ゆっくりと包囲されてみたり、遊び道具にも武器にも防具にもなりうるんだよ。
どれもこれもいいなぁ、ぜ〜んぶ珠玉。言葉の使い方が上手いんだよ。たまんねー美味しさ。言葉フェチとしては大満足です。
あ〜あ〜、でも、特に第三話の演劇部のお話は上手すぎるね。言葉すげー。たった一言ですべてを表現するんだ。すべてを肯定するんだ。一緒になって泣いたよ。
第四話の佐古くんの台詞が棘のように突き刺さる。ああ、もうきっと抜けねー。ちくちくちくとこれから一生痛み続ける。でも、絶対抜けない。
「結局 自己満足 自己保身 詩人は上手く装飾するもんだ」
僕はとても詩人と呼べる人種ではないですが、この「詩人」は文系、というか、世界を言葉で規定する人間全般と入れ替えてもOKです。
ああ、もう、ごめんなさい。言葉でガード張ることの無意味さ、不毛さは百も承知なんだけどさ、そうでもしないと潰れちゃうんだもんよ。
「失恋の詩でも詠むか」
潔いなぁ佐古くん。