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オノ・ナツメ / 小学館

赤目一味の頭目の死に立ち会った弁蔵と宗次。頭目はふたりに「一味のこと、まかせた」と言い残し、息を引き取った。
ところが、跡目に据えられたのは頭目の弟分・甚三郎。この采配に納得のいかぬふたりは。一味を離れて旅立つ決意をする。
そう、「でっかいことをやる」ために!(第一集)

世話になった赤目一味のもとを去り、「でっかいことをやる」ために大坂へ向けて旅立った弁蔵と宗次。
しかし、その矢先に出会った役人に「何か」を託されたふたりは、一転、江戸へ向かうことに。
ふたりの真意は…そして、江戸でふたりを待つものとは?(第二集)

「さらい屋 五葉」で、あの独特の絵柄が意外にも時代劇によく合うことがわかったオノ・ナツメ。
けれど「つらつらわらじ」はいまいち食指が動かずスルーしていました。
しかし、こちらは本屋で見かけた途端、我慢できなくなりました。
うん。
オノ・ナツメ作品ならしっかりした人間ドラマになることは心配ないけれど、それだけじゃなくて、「五葉」のイチさんのようなニヒルでダンディな悪者が活躍するピカレスク時代劇が読みたかったんだなぁ。僕は。

気風の良い江戸っ子で信念を持った悪党がふたり、「でっかいこと」をやるために旅に出る。
というのが物語の骨子なわけですが、ちりばめられた伏線から察するに、どうも一筋縄ではいかない模様。
ふたりがもともと所属し、足抜けするきっかけともなった赤目組の跡目争いにもなにやら裏がありそうな気配だし、ようやくたどり着いた大阪では(当然といえば当然だけど)素直に受け入れてもらえそうもない。
定型化したキャラクター造形を継承しつつも、いい感じに崩してある登場人物たちが持ち味を出していて、キャラクタ自身もそうですが、物語にも色気を添えているのもオノ・ナツメらしい。悪党なんだけど、憎めない。

2巻の「託され物」のエピソードは非常にしびれるものがあります。
「役人だろうがなんだろうが奴は俺らに託した。
俺らは奴に託された。
死に目に遭った俺らがそれを他の奴にまかせるような真似しちまったら、
男がすたるだろ?」

悪党は悪党なりに一本通った筋を持っている。
結果としてそれが善行になろうが悪行になろうが知ったこっちゃない。筋を曲げるようなことは、たとえなにがあってもできないだけだ。
この男としての魅力が、ピカレスクものの魅力そのものでもあるのだと思います。



昔々の「ワンピース」がこんな感じだったんですがね。だからおもしろかった。
いまではもう見る影もないですけど。
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