忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

basso / 茜新社

健康を気にするお年頃のラーメン店長・ナカさんと、お客さんで恋人のマツシン君とふたりを取り巻く人たちの、すばらしき日常。このほか、髪を気にする矢田さんの『くろぐろ』を同時収録した、ふたつのシリーズ作品集。

第1話はたった4ページ。そして台詞は最期のコマにだけ。
「水分を摂らずに運動すると血管がつまる……」
「そんな ナカさんはまだまだ大丈夫ですよ!!」
「ドロドロになるんだ……」
そして枠外に手書き文字で「ドロドロ血流とたたかう男 ラーメン店店主 中マコト(41)」。
ああ、なるほどね。
タイトルの適当さ加減と、ゆる~い感じとがいい具合に絡まってほっこりします。
まぁ、bassoってオノナツメのBL漫画用の別名なので、「運動」がどんなものなのかは推して知るべしって感じで、内容は全然ほっこりしてないんですけど。そのギャップがまたいい、みたいな。

でも、実は表題の「ナカさんのながれ」より、同時収録の「くろぐろ」の方が好きでした。
「くろぐろ」の方はおっさんと青年の話で、別に好いた惚れたとか絡みとかがあるわけじゃなく、終始、なんかこう微妙な感じの距離感でした。

見事な若白髪をまったく気にしていない青年(秋山君)と、髪を黒く染めているおっさん(矢田さん)。常々苦々しく思っていた矢田さんは、ある日秋山君に言ってしまいます。
「秋山君 君とは並んで立ちたくないんだ 特にレジとかお客さん相手にするとき」
「どうしてです? 矢田さんはベテランでいろいろ教えてもらいたいのに 近づけないのはつらいです」
「髪の毛染めたらいいよ 近づいて」

そして、無邪気で素直な秋山君は薬局で髪染めを買います。そこで偶然矢田さんと出会い、矢田さんを食事に誘います。裏も悪気もなにもなく、無邪気で素直に自分に話しかけてくる秋山君と過ごす内、矢田さんの心境に変化が訪れます。
「秋山君 さっき買った白髪染め あれ私が買いとる」
「えっ」
「心の狭い男で悪かった 君はそのままでいい」

荷物のアップとアパートの外観をバックに、この台詞だけで第1話は終わります。
人物の表情が描かれないのが、とてもいい演出として効いています。
この台詞を言ったとき、矢田さんはどんな顔をしていたんだろう、秋山君はどうだったろう。簡単に言えばそんな情景を自分好みに想像できる余地が、このマンガにはたっっぷりあって、そうした余白(というよりは余韻に近いか)が、この人のマンガの大きな魅力でもあるわけです。
もっと「くろぐろ」読みたいな。
この記事にコメントする
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (チェックを入れると管理人だけに表示できます)
PR
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
ブログ内検索
Copyright ©   input   All Rights Reserved
Design by MMIT simple_plain Powered by NINJA TOOLS
忍者ブログ [PR]