高屋奈月 / 白泉社

透への見舞いを魚&花に認めてもらえない夾は、花の言葉を受け、逃げ回っていたモノと向き合う覚悟を決めて父親のもとを訪れる。母親を殺したことを認めろと迫る父に、夾は!? 一方、十二支の呪いが崩壊してゆく中で、紅野を刺し、透の事故に居合わせた慊人にも変化が─!?<
とうとうフルバもクライマックス。
長かったなぁ。
もうここまでくると何をか況やって感じですね。
見せ場というか盛り上がりというか、物語的なクライマックスは前巻までで見せ終わっているので、今巻は設定の消化と各キャラクタのまとめが主でした。
そして、たまに忘れそうになるけど、フルバはれっきとした少女漫画なので、ある意味物語云々よりもそっちの方が重要だったりします。部分的に。
まぁ、つまり、透くんと夾の恋愛っちゅーことです。
もうどうしようもないくらいの天然っぷりと太平洋よりも広い心の持ち主っぷりを発揮してきた透くんでしたが、きちんとただの女の子だったんだなぁ、と、そんな当たり前のことにちょっとショック。や、いい意味でね。うれしい不意打ち。
それに対する夾のお馬鹿っぷりにはいらいらさせられますが、必要な言葉を必要なときにばっちりと吐けるあたりが憎い。
「大好きです 夾君 それはとっても 無敵です」
「そっ…… か… じゃあ 俺も無敵か… なんも怖がることないか
おまえがいるならっ」
くはぁ。
たったこれだけ。たったこれだけのことに、22冊も。
でも、たったこれだけのことを、自分の気持ちとして育て上げ、口にできるようになるにはそれなりの時間が必要なのかもしれませんね。
よかったね透くん。