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よしながふみ / 小学館

とうとう吉宗が亡くなってしまいました。
この物語は吉宗の御世から幕を開けたので、なんとなく感慨深いものがありますね。

考えてみれば、この構成は実に見事でした。
冒頭、いきなり美男3,000人が侍る大奥に女将軍が立つ、という大きすぎるインパクトを与え、読者の目を惹きつける。
その設定と、作者がよしながふみということでBL色の濃い少女マンガとなるのかと思いきや、吉宗・水野編でこの男女逆転世界のイントロダクションと真っ当な少女マンガ的エピソードを絡めて見せる。そこで浮き彫りになってきた男女逆転ゆえの不自然さを読者の代わりに吉宗の口で語らせ、舞台は一気に過去へ。
この社会の成り立ちが語られ、そしてようやく、この『大奥』という作品が、歴史改変ものの一大絵巻だということに気づかされるのです。しかも、歴史年表上では何一つとして歪みがないという精巧さ!
歴史を歪めない歴史改変もの。
それでいて、それぞれのエピソードは真っ当な少女マンガ、真っ当な恋愛ものなんだから恐れ入る。
人間の情の動きが歴史の流れとなっていく様を見ていると、かつて柳原さんが『まるいち的風景』の中で牧内さんに語らせた台詞、

「世界は感情で回っている そのおこぼれにあずかるのがビジネスさ」

は確かに真実を突いた言葉だったのだな、と実感します。

話が逸れました。

この吉宗からはじまった物語は吉宗が亡くなることでターニングポイントを迎えます。
いままでが男女逆転社会の成立と発展の物語。
そしてこれからは赤面疱瘡の正体解明、根絶――それに伴う男女逆転社会の崩壊と正史への接続の物語。
田沼意次と平賀源内、吾作の登場で、いままで大奥の中で完結していた物語が外に開かれていく予感がします。わくわく。続きが待ち遠しいです。


ところで。
帯にもある通り、映画化だけでは飽き足らず、ドラマ化、そして再度の映画化ですってよ。
ドラマはいまのところずいぶん原作に忠実に作られていますね。しかし、忠実なだけに気になってしまうのが配役。
初期~いま時分までの家光なら、なるほど確かに多部未華子は適役ですが、女将軍・家光はなぁ。女の色香というか艶かしさが足りない気がする。多部ちゃんかわいいんだけどね。
それに有功も。
堺雅人、演技は悪くないどころかすばらしいと思うんですけど。有功か、というとなんか違う。
二人とも中性性が強すぎて、男と女の業を表すには、ちょっといまひとつ不向きだと思う。
じゃあ誰が適役なのよ、というと、全然浮かんでこないので、文句つけても仕様がないことはわかっているんですがね。
まぁ、僕の勝手なイメージで書いてることなので、実際見てみたら大化けしてるかもしれないし。
なんだかんだで毎週楽しみに見ているのでした。
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