小野塚カホリ / 太田出版

少女時代のトラウマから逃れられない美しき“女王様”、
愛人体質の母親を持つ男子高校生、
35年前の後悔にむせび泣く喪服の女、
女教師へのあこがれと惨めな境遇の間で悩む留学生……
都会の猫のように、ビルの群れの隙間を気ままにさすらう少女たちが、恋する男女の運命を少しずつ変えてゆく。
うーわー、どぎついなぁ。特にエロいわけでも描写が激しいわけでもないのに、ぐりぐりと痛いところをえぐられるよう。
なんか毎回書いてるような気がするけど、この人のマンガは分かりやすすぎます。乾いたスポンジが水を吸うように、一瞬にしてじゅわっと心に入り込んできます。
「#3 哭き女」と「#4 ア サン オブ ア ビッチ」が特に良かった。
後悔と後悔と後悔の狭間で、ようやく人間は生きていくのですね。気がつかなきゃ楽なのに。見えないでいれば楽なのに。捨ててしまえれば楽なのに。
喪失感ほど厄介なものはない。
けれど、喪失したことすら喪失してしまう哀れな僕たちは、そうした傷を刻むことでしか喪失感を得ることはできないのです。
「みはるちゃんの事は 見える人と見えない人がいるの
見える人は多分──
信じたいことが信じられなくなっちゃった人なのよ」