なるしまゆり / 新書館

これなんだろう? ローゼリット。
お前がオレに言った事、あれ、強くなれって事だ──。
砦を喰らう悪食の王子様=カルノは不適に微笑む!
もしもの時が来たら、彼を守り制御するのは君の仕事──。
レヴィの言葉に勇吹はいつか奇跡を期待する……。
そしてユーハはカルノに決闘を挑むが……!!
さあ、このダンジョンを制するのは、誰!?
岐路に立つ勇吹とカルノから目が離せない、第五部「アエトニキ事変」第五弾!!
カルノの独白。
「あいつらが危ないなら オレは強くなろう
楽しいよ?
怖くない 何も
これが俺の力になる オレじゃない奴を守る力に」
そしてこのあとに、「これなんだろう? ローゼリット」と続くわけです。
鳥肌が立ちました。
あのカルノが……自分のことしか考えてなくて、他人がどうなろうが知ったこっちゃなかったカルノが……。
そこに込められたメッセージはすごく単純で、下手を打つと陳腐にしか聞こえません。しかし、その提示の仕方がすばらしい。なるしまゆりのストーリーテリングは見事すぎますよ。
この巻はカルノがメインを張っていて、勇吹は一歩下がったところにいます。
「悪魔喰い」という異能。その特異さ。
レヴィがすごい可能性に気づいてしまいました。ていうか、カルノはそんなこととっくに承知で、それなのに喰ったんだなぁ、と考えると、前述の台詞の重みがさらに増してしまいます。
次巻はまたもや一年後?
長いよ……。