あさのあつこ / 角川書店

十六歳の永見明帆は、同級生の藍子とつきあっていても冷めた感情を自覚するだけ。唯一、彼が心に留める存在は藍子と同じアパートに住む彼女の幼なじみ、柏木陽だった。藍子の様子がおかしい? そう気づいたある日、母親とけんかした陽が突然泊めてくれ、と訪ねてくる。その夜半、陽のアパートが火事で全焼、藍子も焼死体で発見される。だが、それは単なる事故ではなかった。真相を探りはじめた彼らに近づく、謎の存在。自分の心の奥底にある負の部分に搦め取られそうになる、二人の少年。
少年少女の持つ、というか、少年少女が内包する闇を扱った作品、であろうと思います。
作中では何度も少年達の異質さが語られますが、目の輝きであるとか、纏う雰囲気であるとか、そういうなんとも名状しがたいものばかりが強調されていて、具体的にそれはどういったものでどういう現れ方をするのか、というところにはまったく触れられていません。
だから分からない。
自らが異質であると主張されても、全然共感できない。
そして、物語の方も未成熟。
展開らしい展開もなく、序章→終章へと直行、みたいな。
しかも、その終章も実に尻切れトンボで、連載序盤で打ち切りになった漫画みたい。
おもしろいとかつまらないとか、プラスマイナスに関わらずそういう積極的な評価をもたらすにはほど遠い、ただもやもやした不満感だけが残る作品でした。