藍川さとる / 新書館

特殊系問題児の悠二、父親と折り合いが悪くいつも生キズの絶えない和希、女子の中で、男子の中で、自分の居場所を見失っている真理亜。それぞれの問題を抱え、屋上に集まった三人。そこはいちばん空に届きそうで、でもどうしても届かない場所──。
[収録作品]
愛していると言ってくれ。 フレンズ オア ラバーズ
自由になあれ
ウィーカーセックス スピーカーセックス sol・la
とうとう。とうとう出てしまいました。
これでコミックス未収録作品をすべて読めたので喜ぶべきことなんでしょうけど……正直、喜びより切なさの方が大きいです。
買って、出先で時間が少し空いたので読みました。とりあえず「sol・la」だけでも、と思って。
やばいです。もう、外だというのに。自分で百面相していることが丸わかりです。周りから見たらさぞや気持ち悪かったことでしょう。でも、止めらんないんです。ほほえましくて切なくて苦しくてうれしくて、胸がどきどきして。
この人の描く言葉は、様々な景色や感情や思いを濃縮して凝縮して顕れた結晶のようです。
たった一言でえぐられる。
たった一言で救われる。
たった一言で事足りる。
この『自由になあれ』は吉峰家が中心のお話ばかりでした。
いやぁ、こうして通して読むと、静太のかっこよさが目立ちまくりです。いい男だなぁ。世津子の不器用なところも捨てがたいのですが、やはり吉峰家は静太が一番良いです。
ようやく「藍川さとる」も一区切りついてしまいました。
非常に淋しいですが、仕方ありません。
自分の中で、やっと「古張乃利」「黒江ノリコ」を追いかけようかという気が出てきました。とりあえずコミックスを待てるほど気は長くないので、雑誌からこつこつといきましょうか。