谷川史子 / 講談社

失恋しても、大丈夫。
つぎの恋が、たぶんそこまで来てるから。
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』のプロダクションI.G制作アニメ(キャラクターデザイン・谷川史子)との、スペシャルコラボ!!
谷川さんの新作だー! と飛びついてみたらば、あらあらまあまあ。
プロダクションI.G制作のオリジナルアニメの前日譚、という作品のようです。
まぁ、そんな背景はぶっちゃけどうでもいいわけです。
だって、そんなの全然関係なく、ただ単純にこのマンガはひとりの女の子とひとりの男の子の失恋のお話なのですから。
はっきりいって、アニメのこととかは雑音でしかありません。
萌 え た 。
萌えたよママン……。
女の子の方は、ずっと好きだったおさななじみと一緒に大学受験のために上京してきた一日の話。
そのおさななじみには一つ年上の彼女がいて、彼はその彼女を追いかけて東京の大学を受験したのだ。女の子はあわよくば略奪愛! と言ってはいるが、おそらくそんなつもりは微塵もない。だって転けたときに元の関係に戻れなくなるから。
そしていろいろあってつい想いを口走ってしまい、急いで冗談にして茶化そうとすると、意外にもおさななじみは真面目な顔をしていたのでした。気持ちが知られていたことに気付いた女の子は思わず逃げ出してしまう……。
男の子の方は、高校時代の失恋に見切りをつけ、新しく前を向くためのお話。
高校時代、とても仲の良かった三人組(男2、女1)。いつまでも続けばいいと思っていた幸福な時間は、ある日唐突に終わってしまう。それも最悪な形で。自分が臆病で弱虫だったせいでそんなことになってしまったと思う男の子は、大学生になったいまでも恋に前向きになれないでいた。
そんなある日、三人組のもう一人の男の方から電話がかかってくる。久しぶりに再会した二人はお互いの気持ちを交わしあい、同窓会へと赴く約束をする。果たしてその同窓会にはかつての三人組の最後の一人も来ていたが……。
と、まぁ、珍しくも長々とあらすじを書いてみました。
や、もうね、わかるでしょ? この甘酸っぱさ。
もし伝わってなかったら、それは僕の文章力が低いせいです。
や、ほんとやばいから!
谷川さんは、微妙なニュアンスを仕草や表情で表現するのが非常に上手いマンガ家です。その人に、こんな甘酸っぱい失恋物語描かれたら、心臓直撃ですよ。
アニメを知らなくても充分以上に楽しめるので(実際僕はアニメを見ていない)、このコラボ企画というところで二の足を踏んでいる諸兄は是非! 読まれることをおすすめします。
あぁ、なんか失恋したくなった。
失恋をこんなに大切に丁寧に描かれると、そこに込められた「誰かを好きだった気持ち」がまざまざと立ち現れていて、普通に恋愛物語を描かれるよりもよっぽどクルね。