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小野塚カホリ / ジュネット

痴漢オトコから金を脅し取るつもりが、逆に軟禁されてしまった達也。
その相手・森中は、達也を放置して他の男を目の前で抱いて見せるばかり。
地上8階、窓はすべてはめ殺しの部屋で、濃密な不安と恍惚が達也を追い詰める…!

本屋行ったら、「小野塚カホリ 9年ぶりのBL新作」という帯が目に飛び込んできて、確かにずいぶんひさしぶりだなぁ、と思いながら購入。家帰って奥付見てひっくり返った。
発行が2009年で、収録作品はなんと1999年雑誌掲載ですってよ。
新作って!
3年間気づかなかった自分の間抜けさ加減には呆れるばかりですが、雑誌掲載から単行本化まで10年かかるってどんな事情があったんだろう……と、そちらもちょっとどきどきします。

それはさておき。

小野塚カホリを初めて読んだのは、たぶん『NICO SAYS』か『花粉航海』だったと思います。
一読して、その生々しさにえらく衝撃を受けました。
繊細なようでラフな線が、オブラートに包まないむきだしの感情をより際立たせているようでした。
また、性描写がエロくないのもよかった。セックスもただの肉体的接触のひとつで、感情表出の手段として描写できるんだなぁ、と感心しました。
後に絲山秋子の『ニート』を読んだとき、作中の一文、
だけどセックスはおもてなしでも見返りでもない。暴力がそうでないのと同じように。

が、そのときに感じたことを上手く言い表していると思いました。
本当にこの一文は秀逸。そういえば最近絲山さんの新刊チェックしてなかったな。

話が逸れた。

そして当時手に入るだけの作品を買い集め読みふけり、『僕は天使ぢゃないよ』でさらなる衝撃を受けたのでした。
なんだBLっておもしれえじゃねぇか!
少年マンガの添え物のような人間ドラマや、少女漫画の甘ったるい恋愛至上主義ばかりを読んでいた自分には、飾りっ気のないしゃべり言葉や暴力描写、あっさりとしているけれど遠慮のない性描写が新鮮で、目の前が開けたような感じがしました。

そしてあれから10数年。
おそらく自分的には5年ぶりくらいの新作を読んでみて感じたのは、なんとも言えない微妙さ加減でした。
あれー??

おもしろくないわけじゃない。
けれど、物足りない。風呂敷の広げ方も畳み方も駆け足すぎてもどかしかった。
表題作の「生日快楽」、もう2話、せめて1話増やして、じっくり書いてほしかったな。
キャラクタの関係性をもうちょいしっかりと。
体外受精、試験管ベビー、不妊、と掘り下げることでおもしろくなる要素がそろってるのになー。

同時収録の「ポーラー」は、その点良かった。
ノンケに恋してしまったサラリーマンのお話で、シンプルでわかりやすい。
非アンハッピーエンドで、単純なハッピーエンドでもアンハッピーエンドでもなく、読み手がどちらにでも解釈できるのが、また、いい。
余韻だなぁ。
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