緑川ゆき / 白泉社

“山神の森”へ迷い込んでしまった少女・蛍。そこへ一人の青年が現れて!? 決して触れることのできない、彼への恋心は──。四季が織りなす、切なさいっぱいのラブロマンス 表題作他3編収録
春夏秋冬、それぞれを舞台にした短編集。
中でも、表題作となる「蛍火の杜へ」がとてもよかったです。
人間に触れられると消滅してしまう青年・ギンと、少女・蛍の物語。
触れられると消えてしまうから、棒きれの両端を握って手を繋ぐ二人の姿に、もう、どうしようもなく泣けました。や、ただの道案内の図だったんですけどね! そのときには別に恋心とか全然なかったんですけどね!
……でも、だから余計にかなぁ。好きだとかそんなんじゃなくて、ただ、純粋に誰も触れられない、というのが強調して見えて。
さみしかったなぁ。
笑いながら、
「来い 蛍 やっとお前に触れられる」
と言ったときのギンの、そして蛍の気持ちはどんなだったのだろう。
この人のマンガ、ラスト1ページの構図がとても似ています。意図的にやっているという可能性もありますが、読んでいる限りでは、なんとなくそんな気配は感じない。
いろいろとオチはついているんだけど、やっぱりラストって印象に残るもんだから、読み終わった後になんだか均一な印象が残ってしまうのです。
せっかくいいものを描くのにもったいないなぁ、と感じました。