谷川史子 / 集英社

ちょっと家から出らんなかったので、今日一日、積ん読タワーを崩してました。
谷川史子さんの作品で一タワー(単位:崩さずに飛び越えられる程度の高さまで積み上げられた本)を形成していたので、そいつの消化に向かいました。
『きみのことすきなんだ』
表題作がとてもいい。本当に些細なことで誤解が生まれ、すれ違いが生じてしまう。でも、それはお互いのことを本当に思いあっていることのなによりの証拠でしかないのですね。
「でも どうしようもないんだ とめられないんだ
ぼくは
きみのことすきなんだ」
このモノローグに悶えた。見開き二ページがたまらなく愛おしかったです。
『きもち満月』
この本には表題作と「緑の頃わたしたちは」という作品が収録されているのですが、どちらもちょっとしたどんでん返しを企んだ跡が見受けられます。まぁ、一目で分かっちゃうのでなんですが。
「緑の頃〜」のクライマックス、高遠さんの台詞に滂沱の涙を流してしまいました。やー、分かっていても、止めらんないもんですね。
『各駅停車』
勝手に悩んで離れようとする彼女に向かって、男の子が叫んだ言葉。
「どんな男を好きでもいい 俺に そいつのこと重ねて見てもかまわない
でも 俺は きみが好きだ
俺はきみだから好きなんだ 好きだ 好きだ好きだ好きだ」
真理ですねー。俺が君のことを好きなんだ。これ以上に必要なものなんて、どこにもありませんて。
『くじら日和』
いままでが短編ばかりで、はじめてこの人の長編読みました。テーマはいままでも何度も出てきたものだけど、兄妹じゃなくていとこなのがちょっと救いかな。
これはこの作品に限りませんが、谷川さんのマンガに出てくる男の子は、みんな本当にいいやつばかりです。健気でお人好しで、実際にいたら絶対に友達になって隣にいてほしいやつばかり。
勇魚の告白シーンではなんだか異常に感情移入してしまって、頭痛がするくらいせつなかったです。盛り上げ方が上手いのかなぁ。
『君と僕の街で』
第二話が一番好きかなー。ツーカーというか阿吽の呼吸というか、そうか、女の子はああいうのに物足りなさを感じちゃったりするのかしら、とちょっと新鮮。
ラストの締めの台詞、
「歴史のあるふたりにしかできないでしょ?」
の通り、そこに至るまでの積み重ねが如実にそこには表れているのに。時間の厚みって大好きです。
まだまだ続く。