荒川弘 / スクウェア・エニックス

ケーブルテレビでアニメが流れてて、そのオープニングに心鷲掴みにされました。
ポルノの「メリッサ」も知っていたし、この作品のことも知っていたけれど、この二つが合わさったときのかっこよさは、なんていうかもはや別次元でした。これが相乗効果か……と深く納得してしまいました。かっけえ。
で。
コミックス大人買い。
「禁術に手を出して身体を持ってかれた兄弟がそれを取り戻すために戦う話」ってことと「大佐とか戦争とか軍や国家が絡んでくる話」ってことはおぼろげながら知っていました。
だから、個人の事情が世界の危機に直結し、個人の事情の解決が世界の危機を救うことに直結する、いわゆるハリウッド式の作劇なんだろーなーと思っていました。
が。
なるほどどうして。上手い。
流れが自然。スムーズ。
というか、これはこの作品における「錬金術」の設定が秀逸なんですね。
人体錬成を行った際に飛ばされる「真理」が個人の本質そのものであって、それと向き合うことが錬金術には不可欠だということで、つまりは、兄弟の最終目標=生身の身体を取り戻す=人体錬成を成功させること=錬金術を極めること=内的思索を深めることに繋がるわけで。
外的要因である陰謀とかラスボスのバトルとかがその内的思索を深めるための階段としてきれいに作られていて、不自然さがどこにもない。
ラスボス戦の後に、最終目標であった人体錬成=「真理」とのラストバトル=物語の集大成を設けてあるのがすばらしい。
ハリウッド式とか言ってごめん。
立派な冒険活劇であり、しっかりとしたビルドゥングスロマンでした。