忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

作:木場球 演出:新津孝太 / 劇団ジョキャニーニャ

大学院生は、就職活動に悩んでいた。もう、6月だというのにまだリクナビにエントリーすらしていない。
研究もうまくいっておらず、実験は失敗続き。遅刻続きでバイトもクビになってしまった。あんまり仲良くない姉にお金を借りに行かなければならない。できれば避けたいが、昨日から何も食べていない。姉の旦那さんは、カフェをやっているので、ご飯ぐらいなら食べさせてくれるかもしれない。そうこう思っているうちに、携帯がなった。

時同じくして、「椅子」は風呂に入って、たばこをふかしていた。
退屈だ。毎日、パチンコに行っているが、全然当たらない。昨日は、台を蹴飛ばして、店から追い出されてしまった。
ちくしょうあの店員、腹が立つ。「椅子」の携帯がなった。雇い主からの久しぶりの指令だった。
「椅子」は仕事道具のナイフを取り出すと、空を切ってみた。体は鈍っていないようだ。

―2人のクズが出会うとき、物語は動き始める。
(あらすじは変更されます)




ひさびさの舞台観劇。
ていうか、よく考えたら前に観たのって「失恋レモンは残酷カモミール」だから、9カ月ぶり。ジョキャからジョキャへ。おお。

ていうか、この書き出し、前回とまったく同じじゃねえか。つまりこの2年の間、たった3回しか芝居を観ていなくて、その3回が3回ともジョキャだという。自分で言うのもなんだけど、好きだね僕も。


さて。
ジョキャと言えば新津さんの巧みな脚本、という印象が強いですが、今回の脚本は新人さん。
ハラハラどきどき、一体どんな風に仕上がっているのか、いろんな意味で楽しみでした。

……うん。
まぁ、アレだ。
誰だって徐々にステップアップするよね、いきなり階段駆け上がったりはしないよね! という感じでした。

タイプとしては、ストーリーがほぼない中で、役者の勢いと小ネタを延々見せ続け細かな笑いを取っていくもので、ジョキャ作品で言えば「アガサ・クリスティによろしく」に似ている――というか、縮小コピー版のようでした。
うん。
まぁ、ありていに言えば、ショートコント集ですね。
小ネタや勢いで笑わせる、というのはジョキャの得意技ですし、それを放り込んでくるのは劇団色が出るので当然歓迎です。実際結構笑いましたし。
でも、それはあくまでもスパイスだからいいのであって、それをメインにしてしまうと、ちと厳しい。
練られた脚本や軽妙な掛け合いがあって初めてガツンと活きる、というか。
舞台上には常に7人程度の役者がいるのに、ネタを披露している人(達)にしかスポットが当たらないものだから残った人たちに動きがない。
役者が舞台上にいるのに背景と化してしまうわけで、なんだか間延びした印象を持ってしまいます。
こういうタイプの芝居ならば、もっと登場人物を絞って少人数でやるか、多人数でも立ち代わり入れ替わり役者を出入りさせるとかするとまだよかったのではないかと思います。

また、登場人物の行う奇矯で頓狂な行動や言動も、ネタふりであっても伏線ではなく、後々になにも活きてこない。その場その場で笑いが取れればOKという感じがありありと見えてしまい、投げっぱなしのやりっぱなしでまとまりがない。
ひねりや意外などんでん返しとか凝ったトリックとかなくてもいいので、せめて一本背後を貫くしっかりとしたストーリーがあれば良かったのになぁ、と残念に思いました。
不思議なタイトルである「紫陽花に椅子」。この設定というか、タイトルに込められた意味には素直に感心させられたので、ここをふくらませたストーリーだと、感心が感動になったかもしれないなぁ、とも思いました。


あと、中盤あたりからの「ビューティフル・ドリーマー」的展開をもっと活かす、というか、あれをこの作品の核とするのなら、ラストシーンがすごく残念でした。
登場人物たちが続々とはけていき、最後にサトくんとマスターとからあげ定食が残ったとき、「あ、もしかして……!」とちょっとぞくっとしました。このまま冒頭のシーンに繋がるんじゃないのかな、と。
終わらない一日。
冒頭と結末が直結する円環構造。
「世にも奇妙な物語」っぽいなーと思いもしましたが。
予想は裏切られ、サトくんの一言により爽やかで前向きなラストとして物語は締めくくられました。
この爽やかで前向きな(感じのする)ラストは、こうして観てみるとなるほどどうしてジョキャっぽいと納得せざるをえません。しかし、ジョキャっぽいラストとしたことで、なにか作品のまとまりというか色がぶれてしまったのではないかなぁ、と思ってしまいました。


と、散々文句をつけといて何ですが、クライマックス(?)の「イノセントワールド」にはやられました。
爆笑。
そして、あれはなんだかクセになる。毎回必ずアレを差し挟んでくるという劇団があるなら、ちょっと通っちゃうかもな、と思ってしまいました。


次はクリスマスあたりに本公演ということで、あと半年。
楽しみができて、今年下半期もなんとかがんばる気力が湧きそうです。


Cofeeジョキャニーニャ
この記事にコメントする
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (チェックを入れると管理人だけに表示できます)
PR
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ブログ内検索
Copyright ©   input   All Rights Reserved
Design by MMIT simple_plain Powered by NINJA TOOLS
忍者ブログ [PR]