渡辺多恵子 / 小学館
前巻から続いていた土方さんと伊藤甲子太郎の対決が決着。
まぁ、権謀術数という点で見れば、はじめから土方さんが敵うはずはなかったんですよね。
もしかしてこのまま伊藤総長の一人勝ちで油小路までいってしまうのかと思いましたが、そこはさすが渡辺さん。
これ以上はないというくらいに痛快に、そしてかっこよく決めてくれました。
「俺の眼は節穴なんだ!!(中略)俺の眼なんか節穴なほうが 土方歳三は自由に動ける!(中略)だから歳三 何も怖れるな! 俺から目を逸らしてうつむくな 俺が敵わんのはただそのひとつだけだ」
かっこよすぎるよ近藤さん!
ここまで言われて奮い立たない男がいますか。いるわけがないでしょう。当然土方さんは完全復活し、伊藤さんを打ち負かすことに成功したのでした。
けれど、その勝ち負けとはまったく別の問題として、新選組と御陵衛士の分離は決定事項なわけで。
この先の展開を知っているからこそ、藤堂平助の無邪気な笑顔が悲しい。
そして、帯にまで出てきている斉藤さん。
なるほどなー、とうならずにはいられません。
どうすんのかと思いましたが、そこで斉藤さんとセイちゃんと沖田さんの三角関係を絡ませるとは。
史実を歪めないままに、少女漫画と歴史漫画をきれいにミックスしているこの手腕には、感動すら覚えます。