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三崎亜記 / 集英社
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ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。僕は町役場から敵地偵察を任ぜられた。だが音も光も気配も感じられず、戦時下の実感を持てないまま。それでも戦争は着実に進んでいた──。シュールかつ繊細に、「私たち」が本当に戦争を否定できるかを問う衝撃作。


シュールだなぁ。戦争を戦争として描くのではなく、戦争をあくまで見えないもの、一種のブラックボックスとして描くことにこの作品の真髄がありますね。
見えないものは否定できない。感じることすらできないものを、どうやって否定する? 戦争とは、果たしてなんなのか?
しかも、答えの方も周囲をなぞるだけで終わってしまう。

主人公は何度も何度も役場職員に「戦争とはなんなのか?」と問いかけますが、そこから得られるのは“役場の理屈”でしかありません。
その紋切り型な対応・そして返答はどこも間違っていないにもかかわらず、確実に間違っています。そんなことではないのです。でも、それを指摘できない。なぜなら、語るべき本質を誰も知らないからです。
主人公をはじめとする人間のほとんどが、
「戦争を知らない世代」
「戦争=絶対悪と思考停止してしまう」
そういう人間だからです。

全体的にいい作品だったのですが、どうしても、僕は主人公が気持ち悪かった。
言動とか思考とかが、なんだかものすごい子供っぽい。しかも、それは戦争に関するときだけ。そのちぐはぐな感じが気持ち悪い。これも戦争を浮き彫りにする一種の演出であるという可能性は否定できないけれど、やっぱり駄目だった。
どうしても言動が不自然で仕方なくて。
まぁ、逆に考えれば、主人公に疑問を感じながらも最後まで読ませた、という点に、この作品のおもしろさを認めることができるわけです。
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