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絲山秋子 / 文藝春秋
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引越しの朝、男に振られた。東京・蒲田―下町でも山の手でもない、なぜか肌にしっくりなじむ町。元ヒモが居候、語り合うは鬱病のヤクザに痴漢のkさん。いろいろあるけど、逃げない、媚びない、イジケない、それが「私」、蒲田流。おかしくて、じんわり心に沁みる傑作短篇集。


絲山さんのデビュー作。
何故か地元の図書館はこれだけ置いていなかったのですよ。

主人公のまわりにはいろんな男たちがいます。
勃起不全の都議、40をすぎた元ヒモのいとこ、鬱病のヤクザ、痴漢のkさん。つかずはなれず、ただたゆたうような関係。
良い意味でも悪い意味でも軽い作風で、歯切れの良い文体。
ぐいぐいと引き込まれる、というのとは全然違うけれど、すいすい読めてしまう気安さがあります。気づいたらもう終わってたよ、みたいな。

「神話」と「プラセボ」という章がとても好きでした。
突き刺さるというのではなくて、しみわたる。本を閉じると、じんわりと胸を締め付けるような仄かな息苦しさに気づきます。

どことないつかみ所のなさにかすかな物足りなさを覚えますが、その微妙な“満たされなさ”も作品の余韻だと考えれば、まぁ、ありかもしれない。
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