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藤崎慎吾 / 早川書房
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西暦2071年、テラフォーミングが進みつつある火星の北極冠で、高等生物と思われる死骸が発掘された。地球外知的生命の遺物である可能性に、生命考古学者のアスカイ・サヤは火星へと向かう。だがそこは、開発先進国と後発国の緊張が高まり、謎の疫病が蔓延する危険な世界だった。採氷基地での調査を開始したサヤら学術調査団にも、何者かの攻撃が加えられる。

35億年前の花が咲くとき、穏やかな接触は始まった──
生命考古学者のサヤが、火星の地で出会ったものとは?(上巻)

重力の調べが響くとき、すべての想いは昇華する──
人工知性体KTが、電子空間の果てに到達した場所とは?(下巻)


地球外知的生命との邂逅。
電脳電子空間を舞台とした戦い。
この二つを柱とした、傑作SFでした。

あらすじを読んで、てっきり高等生物の死骸から地球外知的生命との邂逅をメインに話が進められるのかと思っていました。前半はまさにそんな感じなのですが、中〜後半にかけての圧倒的ともいえる電子空間の描写。駆け引き。そして、そのふたつが見事なまでに融合したラスト。
互いにつぶしあうことなく、対立することもなく、きれいにおさまった展開に、舌を巻きました。すごいおもしろい。

地球外知的生命との接触、というか、その存在の解明については、暗示的なもので終わっています。
これはよく見られるやり方だと思うのですが、たまに「ここまでひっぱっといて、そんなお茶濁しで終わるのか!?」と愕然とする作品もある中で、この作品は過不足無く描かれていていい感じでした。
あと、電子空間の描き方も秀逸。技術先行で物語を置き去りにすることもないし、物語のための設定、という感じもしない。
本当に、バランス良く描かれた秀作だと思いました。

読み終わったあとで略歴を見てびっくり。
『蛍女』の作者の人だったんだ。『蛍女』買った記憶はあるのに、まだ読んでいないな……ていうか、どこにあるんだろう。
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