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青木和雄 吉富多美 / 金の星社
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「ああ、あすかなんて、本当に生まなきゃよかったなぁ。」自分の思い通りに成長した長男に比べ、できの悪い娘あすかに容赦ない言葉を浴びせる母静代。しかし静代の見せかけの鎧は、職場の年若い上司なつきによって徐々に剥がされていく。愛に飢え、愛を求めて彷徨う母娘の再生の物語。

児童書版の『ハッピーバースデー 命かがやく瞬間』を読んだのは、もう五年程前になりますが、あのとき涙があふれたことも、胸がひりひりしたことも、みんな覚えています。じいちゃんのことを、本当の教育者だと思い、尊敬したことも。

その『ハッピーバースデー』が一般書として出版されたことを知ったのは、店頭で見かけたからでした。ただ版元が変わっただけかと思いましたが、よく見ると大幅な加筆修正がされているとのこと。どういう風になっているのか、読んでみました。

話の筋は全く変わらず、今回も読みながらぼろぼろ泣きました。
なんで涙が出るんでしょうね。別段悲しいわけでも苦しいわけでもないのに、ただ文字を追っていくとあふれてくるんです。不思議ですね。
ま、それはともかく。
今回一番加筆されたのは、母・静代について。
なぜ彼女が虐待に走ったのか。
そこを描くとともに、本当に悪い人なんかいないんだな、みんな良いところと悪いところがあるもんだ、と、そんな当たり前のことが見えてくるお話になりました。
児童書版では絶対無欠の存在に見えた祖父母も、無理解とエゴの固まりでしかなかった父母も、この作品でようやく一人の人間として見えてくるようになった、と言えます。
児童書版はその性格上、いじめや虐待といった部分に焦点を当て、どうしてもデフォルメを避けられないのだから、仕方ないと言えば仕方ない話ですが。


しかし、こういうお話が売れる世の中、というのも、ある意味考え物ですけどね。
どれだけ多くの人が、こんな当たり前のことに目も向けずに生きてきたのか、という指標のようなものですし。
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