秋山瑞人 / メディアワークス

「ものすごく環境のいいところだから勉強をするにはもってこいだ」
そんな誘い文句に騙されて夏休みをとある小さな島で過ごすことになった武田正時。
ところが着て早々、どうもこの島はとてつもなく“奇妙”なところがある、と気づかされることになり、一方、「友達になってくれないか」と頼まれた相手は不思議な感じの、だがとてもかわいい子で──。
秋山瑞人の新作はまたもやボーイ・ミーツ・ガールでした。
「犬がいっぱい出てくる話」もしくは「便所の話」を期待していただけに少し肩すかしではありましたが、この人の書く物語はみんなおもしろいのでまぁいいや。『イリヤ』は最高にかっこよかったし、今回もそういう期待をして間違いないだろう、と思ったのです。
『E.G.コンバット』『鉄コミュニケイション』『猫の地球儀』『イリヤの空、UFOの夏』
どれも、読み始めると止まらなくて、そのかっこよさに陶酔しながら本を閉じるのが惜しくてたまらなかったのですが、今回はそこまでの魅力を感じませんでした。
おもしろいことはおもしろかったんですけど。
今回は一巻まるまる使ってイントロダクションだったからかな。間延びしちゃった感じ。まぁ、次は殺らなきゃ殺られる大アクション、らしいので、そちらに期待と言うことで。
なんとなく、読んでいる間『はるかなるクオン』が思い出されていたのですが、ラストの一行でニヤリ。あの本どこ行ったんだろうなー。押し入れ漁ったらまた出てくるかしら。
しかし……新作を読めるのはうれしいんですが、『E.G.コンバット』のFinalは? 「すんげーところで引いてる」っていえば、あれもものすんげーところで引いてますよ?
デストロイの季節を待ち続けてはや5年……今年の夏が来れば6年ですぜ。
ものすごい正直なところ『ミナミノミナミノ』の続きはいいから、『E.G.コンバット』書いてください。
とか言ってたらまた読みたくなってきた。悲しいとか切ないとかじゃなく、かっこよくて号泣必至。『ワンピース』か『E.G.コンバット』くらいですよ、こんなの。