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平田オリザ / 講談社

小っちゃいな、目標。行こうよ、全国!

すべてはその一言から始まった。高校演劇は負けたら終わり。
男子よりも、勉強よりも大切な日々が幕を開ける。

ある地方の高校演劇部を指導することになった女性教師が部員らに全国大会の出場を意識させる。高い目標を得た部員たちは恋や勉強よりも演劇ひとすじの日々に。演劇強豪校からの転入生に戸惑い、切磋琢磨して一つの台詞に葛藤する役者と演出家。彼女たちが到達した最終幕はどんな色模様になるのか。

「もっと言いたい。死ぬほど稽古したい。」
「どこまでも行けるから、だから私たちは不安なんだ。」
「夢だけど、夢じゃなかった!」
「カンパネルラ! また、いつか、どこかで!」


ももクロが映画主演ということで話題になった青春小説。
平田オリザの芝居は大好きですが、小説を書いているとは知りませんでした。

いまでは観劇は趣味の一つですが、高校生当時はそこまで興味があったわけじゃなかったので高校演劇は見たことがありません。
なので、作品中で描かれる高校演劇の世界は知らないことだらけで、なかなか興味深く読めました。
県の大会が秋以降にあり、全国大会は翌年度に開催される。つまり、県大会で勝ち抜いて全国大会への切符を手にしても、3年生は全国へは出られない。
なんとも特殊な大会だなと思いました。


ある高校演劇部を舞台に、高校生たちが一つの舞台を作っていく過程を描いた青春小説なのですが、友情、確執、嫉妬、恋愛、進路……。青春ものらしいさまざまな要素が散りばめられ、その要素のどれか一つでも大きくふくらませていけばもっともっとドラマチックにできたのに。
「お、これはのちの伏線か?!」と思う場面がいくつもあるのですが、そのどれもがハズレで、ドラマチックに仕立て上げようという意図が毛頭ないことに途中で気づきます。

ただ真摯に。
演劇に向き合い。
芝居ってなんなのか。
演じるってなんなのか。
どうして芝居をするのか。

小手先のエピソードではなく、きちんと物語の芯に向き合うことで、ブレのないすばらしい青春小説となっていました。
戯曲とはまた少し趣が違うけれど、小説もおもしれー。
平田オリザ、もっと書いてくれればいいのに。
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