森博嗣 / 講談社

薔薇屋敷とも、月夜邸とも呼ばれる豪邸には奇妙な噂が囁かれていた。狼男が住んでいるというのだ。邸内のオーディオルームで血まみれの死体が発見される。衆人環視で密室状況の室内は、なぜか床が水に濡れ、ガラスの破片が散らばっていた。瀬在丸紅子が指摘する意外なる真相とは!?
確かに意外な真相でした。っていうか、瀬在丸紅子すごすぎ。その展開は少しばかり無理がありすぎませんか。天才、の一言で片づけるにも程があるかと。
屋敷にまつわる噂とか、保呂草さんの挙動とか、その辺の設定が浮いているような感が強かったです。そうしたバックボーンと、事件自体が乖離しているというか。一見関係のなさそうな事柄が縒り合わさり一つの大きな流れになる、というのとは正反対で、一見関係のありそうな事柄を列挙するだけ列挙して、終わってみると結局バラバラなまま。
なんだか、Vシリーズはいまいちノリ切れないです。