小林めぐみ / 角川書店
『The Indifference Engine』を読んで無性に読みたくなったのと、「とある魔術の禁書目録」がつまらなかったのの反動でラノベを読みたくなったので。
さて。
『The Indifference Engine』の感想にこの「極東少年」シリーズについて書きましたが、やはりいくつか記憶違いしてました。
不老不死の神霊ナミのことを誰かが「現象」だと定義したのではなくて、もともと、「生」という現象が具現化したものがナミなのでした。
おもしろいのは、「生」という現象を受け入れることと「不死」であることはイコールではない、と主人公が断じてしまうところです。
「意識」の存続、それは果たして「生命」足りうるのか。否、それは「現象」だ。
では、「現象」と「生命」の違いはどこにあるんだろうか。
「俺は魂は肉体のあるかぎりあるもので、肉体がなくなれば消えるものだと思っている。(中略)つまりじいさんって現象は、じいさんが生きているっていう幻覚を依り代の中に生じさせるものだったんだ、ってね」
オカルトにどっぷりと傾いた作品なので魂の実存が前提となっていますが、「意識」レベルでの「不死」についての解釈としては、これ以上ないくらいしっかりとしたものとなっていると思います。
もともと科学畑出身で、現在ではSF作品を上梓している作者が、SF以外のフォーマットで出した結論、というのがまたおもしろいです。