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梨木香歩 / 新潮社
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だいじょうぶだ。世界は終焉を迎えない。どんな形を取っても、何に形を変えても、伝わってゆく何かがある。生命は、いつか必ず、光のように生まれてくる。

はじまりは、「ぬかどこ」だった。
先祖伝来のぬか床が、うめくのだ──


先祖伝来のぬか床がうめく──おおう、『家守奇譚』や『村田エフェンディ滞土録』のようなほのぼのふんわり不思議系か、と思っていました。
あらあらまぁまぁ。
どちらかというと『裏庭』系のお話でした。早い話がファンタジー。そう、これはかなり純度の高いファンタジー作品でした。

叔母が亡くなったことにより先祖伝来のぬか床を譲り受けた主人公。なんだか曰くありげなぬか床。うめくし。それでも毎日かき混ぜていると、ある日卵のようなものが突然出現する。ある朝、半透明の少年のような存在が部屋の隅にいて、卵が割れていた。主人公は直感的に孵ったのだ、と理解した。
そうして物語はここから一気に進行し、最後は行き着く所をさらに越えて還ってしまうわけですが、これが上手い。
風野さんの存在がかなりジョーカー、というかワイルドカード的で、少し使い方を間違えると一気に物語を引っ張るし主張も全部持って行っちゃうキャラクターだったのですが、実に危ういところでそうはなっていない。

梨木香歩、というひとの奥深さを改めて感じ入る佳作です。
生命とはなにか、家族とはなにか、生きるとはどういうことなのか。
眉間にしわ寄せて考えるような、そんな難しいことじゃないんですね。
祝福を。
光に生命にいまあることに。
誰かが誰かを祝福すれば、世界は祝福で結ばれるのですよ。
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