有川浩 / 角川書店

春、寧日。
天気快晴なれど、波の下には不穏があった。
横須賀に巨大甲殻類来襲。
食われる市民を救助するため機動隊が横須賀を駆ける。
孤立した潜水艦『きりしお』に逃げ込んだ少年少女の運命は!?
海の底から来た『奴ら』から、横須賀を守れるのか──!?
今度は毛色の違うものというか、頭を使わずに、頭を空っぽにして読めるエンタメにしようかと思って。
そのときにぱっと浮かんだのが有川浩で、自衛隊三部作の中でもっとも好きなこの作品を読むことにしました。
以前も書きましたが、この作品は有事の際の日本の弱さをわかりやすく描いている作品です。
政治家とか官僚とかマスコミとか米軍とか、なんていうか紋切り型の「悪役」がいて、そうした様々な足枷と法の制約のもと、自分のできることを精一杯やる人たちの物語。
惜しむらくは、すべてのキャラクタが、もう本当に「役割を果たす」ためにあるという感が拭えないこと。「キャラクタ」であって、「人物」ではないんですね。
まぁ、だからこそがっちりハマって見えるし、ハマったときに最大限映えるわけで。
エンタメ小説なんだからそれで十分かもしれません。
やっぱり烏丸参事官がかっこいーです。
「恥をかけと命令しておいて、俺が恥をかかないわけにはいかないだろう」
うーん、名言。